昨日の記事では、マスコミ(NHKディレクター職)出身の泉房穂市長が、ある時は出自がマスコミであることを自慢しつつも、ある時はマスコミを一方的に敵視して口汚く罵り、ある時はマスコミに媚びを売って自分を取り上げるようゴマをスリスリするという、首尾一貫性のない極めて柔軟性の高いお人柄であることを紹介しました。
政治家というのは、目立ちたがり屋の集団で、そもそも自己顕示欲が強いヤカラでなければ選挙を勝ち抜くのは不可能でしょう。なので、平時において政治家が、マスコミに露出して目立とうとすることをことさら問題視するべきではありません。
しかしながら、人命が脅かされるかも知れない、災害など深刻な危機事象下における政治家の売名行為は話が違ってきます。民衆の生命・健康を何ら心配することなく、危機管理対応そっちのけで、もっぱら自己宣伝に勤しむ政治家がいたら、はっきり言って政治家失格です。
今回は、史上最凶の台風と懸念された2022年台風14号NANMADOLが上陸した9月19日の泉市長殿のツイートを取り上げてみます。
本題に入る前に、いくつかのツイートを先に紹介します。まずは、昨日の記事でも取り上げた、N国も真っ青なNHK批判のツイートを引用します。
明石市長 泉 房穂(いずみ ふさほ)
@izumi_akashi
「元NHKディレクター」という職歴が恥ずかしくなる。NHKは“不要”であるのみならず、“有害”放送局なのではないか。国民から受信料を強制徴収しておきながら、権力に忖度して、国民にウソを垂れ流す放送局に存在価値はない。なくなった方が国民のためかもしれない・・・
午前9:53 · 2022年9月17日
唐突に、強烈なNHK批判をつぶやいておられますが、その背景には、次のような事情があったようです。
明石市長 泉 房穂(いずみ ふさほ)
@izumi_akashi
NHKから連絡があった。
放送予定だった『ニュースウォッチ9』では、
明石市のことは放送されなくなったとのこと。
こども家庭庁法案の可決など、他のニュースとの関係で、
時間が取れなくなってしまったとのこと。
不思議だ。
確か『こども家庭庁』に関して取材に応じたはずだが・・・午後7:35 · 2022年6月15日
従来は、サンテレビなど地元のローカルニュースや、せいぜい関西圏のブロックニュースで明石市の子育て支援施策が取り上げられることはあっても、なかなか全国区でのメディア露出はハードルが高かったようです。だけど、ここにきて、全国放送でも取り上げられるようになり、気が大きくなっていたようです。
8月27日には、テレビ朝日のサタデーステーションで取り上げられ、念願の全国デビューを果たしました。おめでとう!!
NHKからも全中(全国放送)向けの取材を受けていて、泉市長としては満悦で、期待度マックスだったと思われます。ところが一転NHKから放送されない、との連絡が入り、よほど癪に障り、例によってアンガーコントロールができなくなってしまったようです。上述の9月17日のツイートの直後には、これを引用してさらにつぶやいています。
明石市長 泉 房穂(いずみ ふさほ)
@izumi_akashi·9月17日
「NHKだけが明石市の施策を放送しないのはなぜか?」と聞かれることがある。たしかに最近は、民放の全国ネットでも明石市の子ども施策が大きく取り上げられたりもしている。実はNHKも担当記者レベルでの取材や問合せは多くきている。ただ、なぜか放送されない。まとめて放送する予定なのだろうか・・・
泉市長の一連のツイートに対し、フォロワーのネット民の間では、「NHKの陰謀論」なるものがまことしやかに語られていたようです。いわく、国家権力に忖度したNHKが、泉市長を取り上げることを自主規制したんだ、と。ライターの箕輪健伸氏はこの論調で、SAKISIRUというネットメディアにおいて、「明石市・泉市長のツイートが話題、NHK放送中止の不可解」と題する記事を書かれています。
しかしながら、根も葉もない邪推です。NHKが、地方の一介の市長ごときの発言に政治的影響を懸念して放映を中止することなんて、まずあり得ません。ニュースが立て込んでいる日に、予定していた特集ものの放映を延期することなどテレビ局では日常茶飯です。NHK出身の泉市長であれば、そんなことは百も承知のはずですが、明石を取り上る企画がお蔵入りしてしまうとブチ切れてしまったのでしょう。
果たして、NHKからは9月19日に全中で放映することになった旨、市長のもとに連絡が入ったのでしょうね。ところで放映予定日の9月19日は、どんな日だったでしょうか。その日は、伊勢湾台風を凌駕するかも知れない史上最凶の台風になるとも懸念された中心気圧910hPaの台風14号NANMADOLが本州に上陸した日です。
国民誰もが、台風の被害を心配し、家族や知人の身を案じてる状況において、政治家たるもの平時モードから危機管理モードに思考と行動を切り替えて、万全の体制でスタンバイしておくべきものです。
ところがどっこい、泉市長は、台風のことはそっちのけでテレビの前に釘付けになり、NHKで自身のことが取り上げられるか気を揉んでおられたようです。
念願かなって、まさに放映のタイミングで、「今、NHKで放映されている」「明石市5つの無料化をNHKが放送している」と嬉々として立て続けにツイートを発信しておられます。
台風による市民の命や健康、公共インフラや家屋、農業などへの影響など頭の片隅にもなく、とにかくNHKで明石の子育て支援について全国報道されたことが嬉しくて、極度の興奮状態にあったようです。
極度の興奮状態がやや落ち着いてからは、深々とNHKにお礼の念を示したツイートを出しておられます。
明石市長 泉 房穂(いずみ ふさほ)
@izumi_akashi·9月19日
NHKの『ニュースなるほどゼミ』で「明石市のこども施策」を大きく取り上げていただいた。①5つの無料化に所得制限がなく、②高齢者の市民も好意的で、③地域経済も活性化して好循環となっていることなど、丁寧に報じていただいた。山本恵子解説委員、取材と的確な解説、ありがとうございました。
2日前の9月17日に「NHKは“不要”であるのみならず、“有害”放送局なのではないか。」と罵倒していたのと同一人物の発言とはにわかに信じられません。
テレビは、放映画面を台風情報を流す緊急事態モードで放映している最中に、市民あるいは他の地域の人たちの生命・健康を心配することなく、自分の施策が取り上げられることを何よりも優先し誇示されるとは、さすが信念の政治家としてご立派です。