泉房穂(前)市長の御言葉を検証する明石市民の会

泉房穂(前)市長の過去の発言を振り返り、明石や日本の将来について考えます

東洋経済の子育て自治体ランキングで、明石市は192位の衝撃

前々回の本ブログ記事において、明石市の広報誌で「明石のまちが選ばれています」との見出しのもと、3つのランキングで明石が「第1位」だとする図表が張り付けられていること、そして、それを泉房穂市長がご満悦でツイートしていることを紹介しました。

akashi-shimin.hatenablog.jp

 

この手の自治体ランキングものは、マスコミや不動産関連企業、コンサル会社など様々な調査主体が手掛けており、同じようなジャンルのものであっても、結果が大きく異なるのが実情です。なので、民間のランキングに行政や市民がいちいち振り回されて一喜一憂するのは愚かしいことです。

 

市長が、自らの自治体が好成績とされている根拠薄弱な特定のランキングだけを取り上げて、威張るように誇示するのは愚の骨頂です。本来行政としてやるべきことは好成績となっているランキングだけに目を向けて自画自賛するのではなく、むしろ、成績の悪いランキングが存在するのであれば、そのような不都合な事実をこそ直視すべきであって、自らの弱点と向き合い、冷静に改善策を検討することが何よりも重要です。

 

このような観点から、前回の記事では、日経クロスウーマンと日本経済新聞社が共同で実施している「共働き子育てしやすい街」ランキングの結果を紹介し、泉市長殿の御自慢とは裏腹に、明石市の成績が決して高いものではない(人口20万人以上の165自治体の中で、明石市は上位54位内に入らない)、というファクトを紹介しました。

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今回の記事では、東洋経済新報社の「住みよさランキング2022」【子育て編】を取り上げ、このランキングでの明石市の位置づけについて検討します。

 

東洋経済新報社と「住みよさランキング」

 

東洋経済新報社という会社をご存じでしょうか。株取引をやっている方にとっては、『会社四季報』の発行元として知名度が高い出版社です。同社が発行する主力雑誌である「週刊東洋経済」は、「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」など、数あるビジネス・経済誌の中で、もっとも硬派で学究肌の雑誌として知られています。

 

週刊東洋経済では臨時増刊として、全国の都道府県や市区町村の各種最新データを掲載した「都市データパック」という名称の書物を毎年刊行しています。そして、いくつかの指標を組み合わせて全国の自治体を評価した「住みよさランキング」が1993年から毎年公表されてきました。

 

ちなみに2022年のランキングでは、4つのカテゴリー別(安心度・利便度・快適度・富裕度)に計20項目を選択し、全国の792市と東京特別区20区(千代田区中央区・港区を除く)の合計812市区が序列化されています。

 

東洋経済の「住みよさランキング」は、自治体ランキングものの老舗にあたりますが、特定の指標でもって自治体を優劣をつけるのはケシカランといった批判や、自らの自治体が低位なのはおかしい、といった抗議にさらされてきました。

 

この手の批判や抗議は、ありとあらゆるランキングものに付きものですが、「住みよさランキング」については、評価の多面性が重視され、また、指標選定や順位の算出過程についてそれなりに情報をオープンにし、客観性や透明性の確保に配慮している点は好感が持てます。

 

従前から発表されてきた「住みよさランキング」の姉妹編として、2022年には、「子育てするならどこがいい?」という視点に着目した【子育て編】のランキングが初公開されました。

 

 

東洋経済・子育て編ランキングにおける明石市の順位は?

東洋経済では、今回初公開された【子育て編】ランキングと、各都市の「総合力」を多面的に評価してきた従来の「住みよさランキング」との違いを次のように説明しています。
https://toyokeizai.net/articles/-/597665

 

「総合的なよさ」ではなく、自分のライフステージ、ライフスタイルに「特化したまちのよさ」を知りたいという場合、例えば、子育て世帯にとっての「住みやすいまち」はどこだろうか。子育て世帯と一人暮らしの世帯では、求めるものが違ってくる。

 

例えば、子育て世帯は近くに公園がないと子供を遊ばせるのに苦労することになるが、大人であれば、並木道でもランニングやウォーキング等で体を動かすことができる。個人個人で異なる優先度も当然あるが、ライフステージの違いによる優先度の違いがある。どのような生活がしたいかによって、つまり、どの指標を重視するかによって、「住みよい」と感じる都市の顔ぶれも変わってくるのではないだろうか。

 

今回は、「子育てするならどこがいい?」という視点で選んだ12の指標で算出したランキングをお届けする。日本の少子高齢化は待ったなしの状況で、各自治体も様々に工夫をこらした施策をおこなっている。来年4月には子育て及びこども自身の健やかな成長に関する施策を総合的に担う「こども家庭庁」も発足する。「子育てのしやすさ」は広く共有されるべき観点だといえるだろう。

 

「住みよさランキング2022」【子育て編】が、具体的にどのような指標によって評価されているかは後述するとして、皆さんの関心の高いランキング順位から見ていきましょう。全国812市区の中で、果たして明石市は何位にランキングされているでしょうか。

 

東洋経済のホームページには、全国上位50位までの表が載っているので、引用しましょう。

 

残念ながら、明石市は50位までにはランクインしていないようです。熊本・鹿児島など九州や、中部の地方都市に偏重した、意表をつくような不思議なラインナップですが、ひとまずランキングの妥当性について言及するのはやめておきます。

 

全国51位以下の表はホームページに載っていませんが、3大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)ごとの表が別途載ってます。大阪圏というのは、大阪府兵庫県京都府奈良県の2府2県のことのようですが、こちらのランキング表を見てみましょう。

 

 

近畿2府2県の中では、明石市は15番目にラインクインしています。兵庫県の中では、三田市養父市、小野市が明石市よりも上位に位置しています。全国全体の順位は、明石市は192位となっています。

 

全国812自治体のうち192位ということなので、著しく下位という訳ではありません。一般論としてはむしろ健闘しているほうです。しかしながら、我らが泉房穂市長殿が、子育てのしやすさで明石は全国トップクラスだと豪語しておられることに照らせば、にわかに信じがたい衝撃的な醜態です。

 

おそらく、明石市役所内では、この調査結果もタブーになっているものと想像します。もし泉市長殿がこの調査結果を目にしたら、「なんで明石が一番ちゃうんや。おかしいやろ。東洋経済新報社に火つけてこい。(東洋経済を)燃やしてしまえ」と、わめきちらすこと間違い無しですから (´;ω;`)

 

私たちは、なにも泉市長のアラ探しや、足を引っ張り貶めることを目的として、このような一見不都合なランキングを提示している訳では断じてありません。上述のとおり、「好成績となっているランキングだけに目を向けて自画自賛するのではなく、むしろ、成績の悪いランキングが存在するのであれば、そのような不都合な事実をこそ直視すべきであって、自らの弱点と向き合い、冷静に改善策を検討することが何よりも重要」だという基本的認識に基づき、ニュートラルに様々なランキング結果を提示しているに過ぎません。

 

ここで、「住みよさランキング2022」【子育て編】では、どのような指標によって評価が行われているか、確認してみましょう。

 

従前からの本家「住みよさランキング2022」では、20の指標に基づき評価が行われているのに対し、【子育て編】はその中から12指標を選択され、各偏差値を合計し、合計ポイントが多い順にランキングが作成されているようです。

 

具体的には次の12指標が評価の対象項目となっていますが、子育てに特に重要視される「安全度」カテゴリーの③④の指標については、偏差値を2倍として重みづけがなされているようです。

 

① 人口当たり病床数 医療体制は充実しているか

20~39歳女性人口当たり0~4歳児数×2倍 実際にこども世帯の人々が集まっているか

子ども医療費助成×2倍 公的補助制度が充実しているか

⑤ 人口当たり刑法犯認知件数 子供の安全が確保されるか

⑥ 人口当たり交通事故件数 子供の安全が確保されるか

⑧ 人口当たり大規模小売店店舗面積 子連れでも買い物がしやすい店舗が多いか

⑨ 飲食料品小売事業所数 日々の買い出しは便利か

⑫ 水道料金 日々の生活費は安いか

⑭ 天候の平年値データ 過ごしやすい気候であるか

都市公園面積 子供たちが遊べる空間があるか

⑱ 1人当たり所得  経済的に安定しているか

⑲ 1住宅当たり延べ床面積 広い住居に入居しやすいか

 

2倍の重みづけがなされている「③20~39歳女性人口当たり0~4歳児数」と「④子ども医療費助成」については、まさしく泉市長が重視し、明石市で重点的に施策を展開されている領域です。つまり、本ランキングにおいては、泉市長殿が得意とする領域について、2倍の重みづけるするなど、十分に配慮されていることがうかがえます。

 

それでもなお、明石市が192位という低位に留まるということは、子育てのしやすさという観点からも明石市の施策がバランスを欠き、明石市の総合的レベルが決して高くない、という事実を如実に物語っています

 

もっとも、子育てのしやすさを総合評価する上で、東洋経済が選択した12指標が果たして妥当であるかどうかについては、異論もあると思われます。客観性に乏しく無意味なランキングだとケチをつけるのは簡単です。けれども、そんなことを言うなら、泉市長が自慢する常日頃引用する明石市が第1位とランキングされている調査のほうが、はるかに恣意的でデタラメ極まりないシロモノです(次回以降、徹底検証します)。

 

この手のランキング調査は、選ぶ指標や調査手法によって、全く異なる結果となるのは自明なことです。ただいずれにしても、弱点から学ぶ、という観点からは、とりわけ明石市が低評価となっている項目に着目して、改善策を検討することが、子どもたちにとって住みよい街に発展させていくためには不可欠です。

 

だけど、虚栄心の塊のような泉房穂市長には、自らの弱点を正視して改善につなげるという常道は、望むべくもありません。かくして残念なことに、泉市長殿のもと、明石市政はますます劣化していくのです。