泉房穂(前)市長の御言葉を検証する明石市民の会

泉房穂(前)市長の過去の発言を振り返り、明石や日本の将来について考えます

あまりにも滑稽でみっともない虚栄心の塊・泉房穂市長の姑息さ、卑劣さを象徴する「実質公債費比率」の扱い

泉房穂市長が外部で行った講演の資料が、明石市のウェブサイトの「市長のページ」に掲載されています。過去の講演録を眺めていると、この市長は虚栄心の塊で、見栄だけで生きているのだな、ということがよく分ります。

 

2022年6月7日には、参議院内閣委員会において、泉市長殿は参考人として、「こども施策で人口増・経済好循環」と題する講演を行っています。国会に招致されたことがよっぽど嬉しかったようで、これまでも頻繁に自慢のツイートを書かれており、講演資料は明石市のホームページに載っています。

 

この講演資料は、全体として突っ込みどころ満載で大変興味深いものですが、とりわけ、28ページ目の「持続可能な自治体運営」と書かれたスライドを見たときには、呆気にとられ思わずフリーズしてしまいました。数秒後には、嘲笑の笑いがこみ上げてくるとともに、ここまで虚栄をはらないと自我が維持できないのかと泉市長に対し憐憫の情もわいてきました

 

 

このスライドには、左側に「税収 増えています!」、真ん中に「貯金 増えています!」、右側に「借金 減っています!」と書かれた3つの図が載ってあります。

 

このうち、左側の「税収 増えています!」については、ここでいう主要税収の8年間の変化率は全国平均を下回っており、何ら自慢できるものでありません。人口増の割に、税収の伸びがかんばしくないのは、市長の市政能力の低さを反映しています。詳細は以下の記事で説明しましたので繰り返しません。

akashi-shimin.hatenablog.jp

 

また、真ん中の「貯金 増えています!」についても、財政(運営)基金や減債基金の残高の増加は全国に共通する傾向であり、むしろ、自治体における基金の貯め過ぎが地方財政の課題となっているのです。「コロナ禍でも9億円の増」と書いていますが、2021年度は国から多額の交付金補助金自治体にバラまかれたので、多くの自治体で剰余金が増大し、基金に積み増ししています。ですので、この記載は恥さらしと言わざるを得ません。これについて別記事で紹介しているので、繰り返しません。

akashi-shimin.hatenablog.jp

 

 

ともあれ、左側の税収、真ん中の基金の記載とも痴態をさらしているものですが、最も滑稽で泉市長に対し哀れみすら感じるのは、右側の「借金 減っています!」の記載内容です。ここには大きめの字で「実質公債費比率2.8」と書かれ、その下に小さく括弧書きで、(2018年度実績)と追記されています

 

実質公債費比率とは何か、については後述しますが、ここではひとまず、数値が低いほど優良な成績であり、逆に、この数値が大きいほど不良であるということだけを覚えておいてください。

 

講演資料と市政ガイド2021、市政ガイド2022の3つの比較

冒頭で、泉市長は虚栄心の塊で、見栄だけで生きている、ということを申し上げました。その根拠は、以下の3つを並べてみると、明らかになります。似たような図が続きますが、それぞれ別物です。1つめは、2021年に発行された「明石市 市政ガイド2021」の抜粋です。2つめは、2022年に発行された「明石市 市政ガイド2022」の抜粋です。そして3つめは再掲になりますが、2022年6月7日参議院内閣委員会での講演資料です。

 

1つめ「明石市 市政ガイド2021」

 

2つめ「明石市 市政ガイド2022」


そして3つめは再掲ですが、2022年6月7日参議院内閣委員会での講演資料

 

まず、1つめの「市政ガイド2021」と2つめの「市政ガイド2022」の記載を比べてみましょう。

 

左側の「税収」の項目については、前者の「市政ガイド2021」では「7年で30億円増」の記載が、後者の「市政ガイド2022」では「8年で32億円増」に更新されています。真ん中の「貯金」の項目では、前者では3基金の残高が「115億円(2018年度)」が後者では「112億円(2020年度)」と時点修正されています。

 

右側の「借金」の項目については、「市政ガイド2021」では「実質公債費比率2.8(2018年度実績)」の記載とともに、「県内29市中1位」と目立つように書かれています。なにごとにも「1位」を自慢したい、市長のメンタリティがここでも見事に発揮されていますね。

 

「市政ガイド2022」では「実質公債費比率3.4(2020年度実績)」の記載とともに、「県内トップレベル」と記されています。2021年版と2022年版を比べてみると、実質公債費比率2.8(2018年度実績)という数値は県内29市の中で1位だったけれども、2020年度実績では3.4となっており、2年間で0.6ポイント悪化していることがわかります。そして、「県内トップレベル」と記述がトーンダウンしているということは、県内1位ではなくなってしまっていることが読み取れます。

 

ともあれ、「市政ガイド2022」は、前年の「市政ガイド2021」をベースにしつつ、直近の数値に変更するという編集方針で作成されており、実質公債費比率のように、データが悪化しているような不都合な事項についても、正直に記載するという姿勢が貫かれているようです。後述のとおり、実質公債費比率をこの手の一般市民向け資料で取り上げることにそもそも論として疑問はありますが、データが悪化している不都合な事項についても、正直に直近の数字を記載しているという点では好感が持てます。

 

次に、2022年6月参議院内閣委員会の講演資料の当該部分の記載を見てみましょう。左側の「税収」の項目は「8年で32億円増」と記載されており、「市政ガイド2022」と全く同一内容です。真ん中の「貯金」の項目では、基金残高が「121億円(2021年度見込み)」と記載されています。「市政ガイド2022」では2020年度の基金残高が記載されていましたが、この講演資料作成の時点では直近の「2021年度見込み」のデータが得られたので、情報を更新したのでしょう。「市政ガイド2022」よりも講演資料の作成時点は後であっとことが推察されます

 

このように、直近のデータに時点修正するという統一的方針に基づき、右側の「借金」の項目についても、実質公債費比率について直近の数値である2021年度実績の3.6という値が書いてあるのかと思いきや、なんとなんと、驚くべきことに時点が過去にさかのぼって、2018年度実績を用いており、わざざわ「県内29市中1位」という注意書きも目立つように記載されています。

 

税収貯金借金の3つの項目のうち、「借金」の項目だけは何故か「市政ガイド2021」の古い情報が恣意的に持いられているという事実が確認できます。

 

 

明石市の実質公債費比率が2018年度実績では2.8で、県内29市の中で1位だったことは紛れもない事実です。しかし、泉市長によるバラマキ市政により、この数年間、実質公債費比率はじわりじわりと悪化を続けています。にもかかわらず、当該事実を直視することなく、「過去の栄光」にすがって、国会議員を相手に自慢するというのは、姑息で卑怯というほかありません。ある意味で滑稽ですらありますが、ここまで虚栄をはらないと自我が保てない泉市長に対し憐憫の情が湧き上がってきます

 

ただ、明石市民として、このような姑息で卑劣な泉市長のことを、滑稽な生き物だとあざ笑ったり、憐れみの情を寄せて済ませておくと、将来の大きな禍根につながるので注意が必要です。万事がこんな感じで、都合のいい情報だけしか泉市長の頭には入らず、不都合な情報はすべからく、頭の中からイレース(削除)されているようですが、結果として明石市の財政は重大な危機に直面している、という事実を忘れてはなりません。

 

6市町の実質公債費比率の推移

そもそも一般市民向けの広報資料などで、市の借金(市債)の状況を可視化する数値として、実質公債費比率を持ち出すこと自体甚だ疑問がありますが、泉市長にオツムのレベルを合わせて、非常に恣意的ではありますが、近隣6市町の推移をグラフにしてみました。

 

 

健全な財政運営をしている市町では、この数年間で、実質公債費比率の改善がさらに進んでいることがわかります。加古川市姫路市は、2018年度は明石よりも不良(数値は大きい)でしたが、今では明石を上回って優良な数値となっています。神戸市や伊丹市も改善が進んでいます。そんな中で、「5つの無料化」だのとノタまって選挙目当ての放漫なバラマキを続けている明石市だけは、じわりじわりと借金が増していき、実質公債費比率の悪化が進行しているのです。

 

放漫経営の自治体において、実質公債費比率の悪化は初期のころは緩やかな悪化に留まります。しかし、気がついたときには、崖っぷちの転落、急降下の事態に直面することがしばしばです。バラマキを続ける明石市政の実質公債費比率の推移は、明石市の財政がまさしく崖っぷちの瀬戸際に直面していることを如実に物語っています。

 

そもそも実質公債費比率とは?

ここからは、実質公債費比率について説明します。実質公債費比率といっても、日常生活ではまず耳にすることない用語ですが、この値は、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(いわゆる「地方財政健全化法」)により、全ての都道府県と市町村に公表が義務づけられている数値です。

 

地方財政健全化法は、北海道夕張市財政再建団体に指定されるという、いわゆる「夕張ショック」が発生した翌年の2007年に制定された法律です。当時は、産業構造の転換による地域経済の疲弊、「三位一体の改革」など国の構造改革少子高齢化が進行する中での放漫経営など様々な要因が重なり、各自治体において財政運営が危機的な事態に直面していました。そのような中、各自治体に財政運営の状況を統一的な尺度で開示させ、健全な自治体財政への転換を促し、財政が悪化した際には財政破綻が生じないよう起債を制限することなどを目的として制定されたのが地方財政健全化法です。

 

地方財政健全化法では、財政状況を客観的に表し、財政の早期健全化や再生の必要性を判断するための財政指標として、①実質赤字比率、②連結実質赤字比率、③実質公債費比率、④将来負担比率の4つを「健全化判断比率」として定め、全ての都道府県と市区町村に数値の公表を義務づけています。

 

細かい説明は省きますが、①実質赤字比率は一般会計のみの収支の状況を評価する指標であるのに対し、②連結実質赤字比率は、一般会計とともに公営企業に係る特別会計を含んだ財政状況を判断する指標です。③実質公債費比率はさらに、一部事務組合や広域連合の赤字の状況も考慮し、④将来負担比率はさらに、地方公社や第三セクターの負債についても加味して算出されます。

 

実質公債費比率や将来負担比率については、一般会計だけみると一見良好な収支を維持していても、一部事務組合や第三セクターにおいて莫大な借金を抱えている自治体が少なくなく、このような「隠れ借金」をあぶり出すための指標です。

 

これら健全化判断比率については、4つの指標、さらには関連して公営企業ごとの資金不足比率などの数値を通覧し、総合的に自治体の財政運営状況を判断するためのものであって、これらの指標のうち特定の項目だけを切り出して、一般市民に提示するのは、およそナンセンスなことだと言わざるを得ません。

 

すなわち実質公債費比率だけをもっともらしく提示して、「実質公債費比率2.8(2018年度実績)」「県内29市中1位」などと市民に広報したり、自慢するのは、ナンセンス極まりない愚行です。

 

「組合等が起こした地方債の元利償還金に対する負担金等」が完全ゼロの明石市において、実質公債費比率を単独で引っ張り出すのは全く意味不明で、訳ワカメです。

 

実質公債費比率についてさらに補足しますと、この比率は非常に複雑な計算式により算出されます。準元利償還金の構成要素は何であって、標準財政規模とはどのようなものであって、「元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額算入額(算入公債費等の額)」云々といった呪文のような用語について説明は省きますが、いずれにしても、現行の地方財政措置制度を前提として作り出された指標だということに留意が必要です。

 

もし、地方財政措置制度が破綻するようなことがあれば、実質公債費比率は全く意味がなくなります。標準財政規模や算入公債費等の額については、ある種フィクションの数字であり、実質公債費比率が、わずかに上がった・下がったと一喜一憂するのは本来的には馬鹿げたことなのです。

 

実質公債費比率は制度上、25%未満であれば、地方財政健全化法上の財政健全化団体に該当せず「健全団体」とカテゴライズされ、地方財政法の地方債届出制度において、18%未満であれば、地方債協議制度の対象外になる、という程度の意味合いしかありません。

 

先ほど、実質公債費比率について近隣6市町の推移グラフを載せましたが、その際に、「泉市長にオツムのレベルを合わせて、非常に恣意的ではありますが、近隣6市町の推移をグラフにしてみました」と記載していました。正直にいえば、このグラフはおふざけのパロディーに過ぎません。パロディーに過ぎませんが、実質公債費比率を取り上げて自慢する泉市長の愚かさ、姑息さ、醜さ、憐れさをより鮮明にするため、泉市長にレベルを合わせて図示した次第です。

 

 

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