泉房穂(前)市長の御言葉を検証する明石市民の会

泉房穂(前)市長の過去の発言を振り返り、明石や日本の将来について考えます

兵庫県内各市の「借金」推移を見ることで、一層顕著となる泉房穂・明石市政の惨状



 

「事実」をお伝えしておくと、明石市の『借金』は減っていっています。

 

明石市は、財政面も好調(税収増・貯金増・借金減)で破綻などしません。

 

“借金”は減り、明石市の“財政”は極めて“健全”な状態。“破綻”どころか“順調”そのものだ。

いずれも泉房穂明石市長がツイッターで明言されてこられた歴史的名言です。しかし、これらが迷言のデタラメに過ぎないという事実を、本ブログの前回の記事でお伝えしておきました。

akashi-shimin.hatenablog.jp

 

というのも、明石市の借金は、泉市長が就任する前は財政健全化の取り組みにより順調に軽減していましたが、泉市長の就任後は、右肩上がりで借金の増大が続いているのです。具体的な数字を示すと、明石市の一般会計における市債残高は、2012年度末の990億円から2020年度には1193億円と、8年間のうちに借金が実に203億円も増えているのです。率で表現すると、市債残高の増加率は20.5%にも及びます

 

当該事実は、市が発行している「明石市の財政 かんたんな決算の説明書 平成2年度決算」の11ページに明示されており、誰でも簡単に事実確認することができます。市役所のホームページにも掲載されているので、URLを示しておきますね。

https://www.city.akashi.lg.jp/zaimu/zaisei_ka/shise/zaise/aramashi/documents/kantannakessan02.pdf

 

 

では、同じ時期に他の自治体の借金は、どのような推移を示したのでしょうか。周辺の他の自治体においても、明石市と同様に借金が増大しているのであれば、横並び好きの日本人的感覚ではそこまで深刻に懸念することではないという見方もできます。だけど、他の自治体では借金は減少しているのに、ひとり明石市だけは借金が増えているのであれば、極めて憂慮すべき事態だと言えます。果たして、事実はいかに。

 

ということで、今回は、兵庫県内の各市における、2010年度末と2020年度末の市債残高を調べて整理してみることにしました

 

決算カードで、地方債現在高を調べる

どのように調べたのか、種明かしをする前に、「一般会計」と「普通会計」の概念に違いについて簡単に触れておきます。上述した明石市における2012年度末の990億円、2020年度末の1193億円という数字は、「一般会計における市債残高」です。各自治体のホームページを覗くと、各自治体における一般会計市債残高を把握することが可能です。

 

しかしながら、「一般会計」と「特別会計」の区分は、自治体によって微妙に異なります。ある自治体では「一般会計」に区分している事業を、隣の自治体では「特別会計」に区分していることがあります。このように一般会計の中身が自治体によって微妙に異なっていると、各自治体の財政状況を横断的に比較する上では不都合です。

 

このため、総務省では、統一の物差しで、自治体の財政状況を把握できるよう、一般会計として標準的に区分すべき事業のカテゴリーを「普通会計」という概念で整理し、各自治体にデータ提供・公表を義務づけています。

 

このようなことから、今回は、兵庫県の各市の「普通会計の市債残高」を比較することにします。普通会計と一般会計とで、市債残高の数値に根本的に大きな差はないですが、微妙に異なりますので、ご留意ください。例えば、明石市の数値でみると、「普通会計の市債残高」は、2012年度末で1016億円、2020年度末で1203億円となっています。

 

普通会計の市債残高のような主要な決算情報は、総務省のホームページで「決算カード」を調べることで、容易に把握することができます。

https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/card.html

 

「決算カード」のページの「平成22年度市町村決算カード」をクリックすると、都道府県の一覧が表示され、「兵庫県」をクリックすると、兵庫県内の市町のデータが一覧できます。

https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/pdf/1018-15-11_28.pdf

 

同様に、「決算カード」のページの「令和2年度市町村決算カード」をクリックすると、都道府県の一覧が表示され、「兵庫県」をクリックすると、兵庫県内の市町のデータが一覧できます。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000804005.pdf

 

各シートをみると、様々な数字がぎっしり詰まっていますが、右下のほうに「地方債現在高」という項目があり、これが「普通会計の市債残高」に該当します。

 

兵庫県内29市における2010年度と2020年度の「地方債現在高」の値を拾い、両者の差(変化量)と比率(変化率)を計算してみました。2020年度と2010年度の比率(変化率)が1よりも小さければ、10年間で借金の額(普通会計の市債残高)は減少していることを意味し、値が小さく0に近いほど、借金の減少が順調であることが示唆されます。比率が1を超えれば、10年間で借金が膨らんでおあり、値が大きいほど悪化していることを意味します。

 

兵庫県内29市における市債残高の比較

兵庫県内29市のうち、18の市で2010年度から2020年度の10年間に借金が減少し、2020年度と2010年度の比率は1を下回っています。残り11の市は、借金が増大しています。比率が低い順(すなわち、借金の増減が良好な順)に並べると、明石市は21位となります。

 

三木、加東、赤穂、川西、加西、高砂、西脇、加西、小野の7市は明石市よりも下位となっていますが、これらの自治体を除き明石市までの21市を表にしたのが下表です。

 

人口数万程度の比較的規模の小さい自治体は除外し、人口10万を超える市のみを切り取って見やすくした冒頭の表を再掲します。

 

 

多くの自治体では、将来の世代に借金を残さないよう必死の思いでやりくりして財政運営が行われているのです、しかしながら、市長が選挙目当てでバラマキをやっているような自治体では、将来世代にツケを回すことに罪悪感や後ろめたさを意識することなく、ずさんな財政運営が行われ、借金は増大していくのです。我らが泉市長殿の見事な財政能力が裏付けられていると言えるでしょう。

 

 

(脚注)

2010年度と2020年度の市債残高の比率(変化率)を比較するにあたって、留意すべきこととして、ある特定の年だけ、特殊要因により、例年の傾向と異なり、突発的に一過性に借金が激増・激減する可能性への考慮が必要です。というのも、借金減少に熱心に取り組んでいる自治体において、例えば、2010年度に一時的に借金が大きく減った、2020年度に一過性で借金が激増したような場合、単年の比率では悪化の傾向が示される可能性があるからです。

 

このようなことから、単年ではなく、3年間の平均で平準化して、変化率を確認してみました。すなわち、2008~2010年度の3カ年平均と、2018~2020年度の3カ年平均の変化率を調べてみましたが、各自治体とも単年の変化率と大差はありませんでした。

 

また、今回は深入りしませんが、自治体間の借金について比較する際には、人口規模についての考慮も必要です。人口100万の自治体での50億円の借金よりも、人口10万人の自治体における10億円の借金の方が深刻であることは言うまでもありませんね。

 

この点、姫路市(2020年国勢調査人口530495人)と明石市(同303601人)を比較すると、2020年度末の市民1人あたりの借金は、姫路市で39.3万円、明石市で39.6万円です。また、2010年度末から2020年度末までの10年間の借金の増加額(姫路市で63億円、明石市で187億円)を市民一人当たりでみると、姫路市では1.2万円、明石市では6.2万円の増となっています。