プレジデント・オンラインとダイヤモンド・オンラインで、泉房穂市長の連載が始まったようです。両誌はライバル関係にあり、通常は、同一著者による類似内容の記事が同じタイミングで掲載されることはないように思います。だけど、ライツ社が泉市長の新著の販促のため、したたかに企画し、巧妙に同時連載の実現を図ったのでしょう。
両サイトの記事を眺めると、またもや見事に嘘を連発しておられ、絶好調です。悪びれることなく、堂々と嘘の拡散を図る泉市長殿の厚顔無恥ぶりには、本当に感服です。
さて、今回から数回にわたって、下水道事業をテーマに泉市長の御言葉を検証していきます。
まずは、本日(2023年2月2日)配信されたばかりのプレジデント・オンラインにおける泉房穂市長の記事「政治家の「金がない」「人が足りない」はウソ…明石市が子ども予算を10年で2倍、人員を3倍に増やせた理由」から、下水道に関する発言を引用します。
https://president.jp/articles/-/65717?page=5
「10軒のために600億円」という公共事業にメス
当時、明石市の規模からするとかなり大きな下水道ネットワーク計画がありました。市の下水道普及率はすでに99.8%に達していましたが、100年に一度のゲリラ豪雨による床上浸水に備え、改めて市内全域の下水道管を太い管に交換する案です。20年で600億円を費やします。
担当者と協議して被害見込みを尋ねると、市内で10軒。10軒だからといって対策を怠ることはあってはなりません。でも他の方法で、もっと効率良く対策できるのでは。そう思わずにはいられませんでした。10軒のために20年で600億という発想とコストも問題です。
役所は縦割り組織のため、狭い所管枠内で限定した発想になりがちですが、目的が浸水被害対策なら別の方法もあります。エリアを限定することもできるし、ハード整備だけでなくソフト面での対策を組み合わせて市内全域の体制を強化することもできる。組織全体でみれば、より有効でコストのかからない総合対策を選択することができるのです。
結局、整備計画を見直し、ハード整備中心の対策からソフト面も組み合わせた総合対策へと変更しました。結果、計画は総額150億円規模になり、450億円を削減することができたのです。
ここで述べられていることを図示したのが、次のスライドです。これは、2023年1月24日に、墨田区議会議員研修で泉市長が用いた資料の88ページで、明石市役所のホームページに掲載されています。
下水道事業費を600百億円を150億円に圧縮した、というのがご持論で、この600億円という数字は、泉市長の大好きなマジックワードらしく、ツイッターでも時々つぶやいておられます。
泉市長の主張を要約すると、次のようにまとめることができます。
・100年に1度のゲリラ豪雨で、市内の10軒ほどの民家が床上浸水しかねないので、600億円をかけて市内全域の下水道管をすべて太いものに変更する、という計画があった。
・しかし、整備計画を見直し、ハード整備中心の対策からソフト面も組み合わせた総合対策へと変更することにより、150億円に圧縮した
・下水道事業の見直しで捻出した450億円は、子育て支援や地域福祉事業に回してやりくりした。
しかし、この主張は、全て「嘘八百」、いや「嘘六百億」なのです。
真相は以下のとおりです。
・そもそも、100年に一度のゲリラ豪雨による床上浸水に備え、市内全域の下水道管を太い管に交換する「市内全域ネットワーク化」なる600億円の計画などもとより明石市には存在せず、泉市長が捏造した架空のフィクションに過ぎません。
・明石市は水害に対して極めて脆弱であり、従来からちょっとした集中豪雨でも各地で浸水被害が発生しており、100年に一度の豪雨が発生すると、被害はたかだか10軒ほどの床上浸水でおさまらず多数の死者も懸念されます。
・ハード整備中心の対策からソフト面も組み合わせた総合浸水対策は、泉市長着任前の前市長時代に策定された考え方で、これを自身の功績のように主張するのは手柄の横取りです。
・下水道事業費を600億円から150億円に削減したなどという虚偽のでっち上げにここまで固執するのは、泉市長の在任中に、明石市の市債残高(借金)が200億円以上増大したという不都合な真実を隠蔽しカモフラージュするためなのです。
泉市長自身も、嘘六百億が悪質な虚言であることを重々理解しているので、相手と場所を選んで慎重に発言しているようです。というのも、上述のとおり、墨田区議会議員研修のような地方議員相手の講演では堂々と嘘で塗り固めたスライドを提示していますが、さすがに参議院内閣委員会に招聘されたときには、このスライドはオミットしていました。
次回からの記事では、具体的な証拠をもとに、泉市長の嘘六百億の主張を検証していきます。ご期待ください。