泉房穂(前)市長の御言葉を検証する明石市民の会

泉房穂(前)市長の過去の発言を振り返り、明石や日本の将来について考えます

浸水被害を訴える市民をデマだと誹謗中傷する仰天市長 泉房穂の「嘘六百億」(その2)

100年に1度のゲリラ豪雨で、市内の10軒ほどの民家が床上浸水しかねないので、600億円をかけて市内全域の下水道管をすべて太いものに変更する、という計画があった。この計画を全面的に見直し、事業費を150億円に削減した。

 

これは泉房穂市長があちこちで吹聴している自慢話ですが、前回の記事では、このような600億円計画などもとより存在せず、泉市長が捏造したフィクションに過ぎないと断罪し、下水・水害を巡る泉市長の虚言を「嘘八百」ならぬ「嘘六百億」と命名しました。

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今回は、前回記事に引き続き、豪雨被害を巡る泉市長の御発言を検証します。

 

まずは、泉房穂市長殿の2022年6月29日のツイートを引用します。このツイートは、「市民病院前の地域、ちょっとした大雨で汚水が逆流する事」を指摘した市民のツイートに対して、泉市長が返答したものです。

 

市民病院前の地域、ちょっとした大雨で汚水が逆流する事も覚えておいて下さい」とのコメントですが、事実無根のデマです。

そんな事実はありません。

明石市は、浸水対策にもしっかりと対応しており、浸水対策費が足らないわけでもありません。

誹謗中傷が巧妙になってきており、困ったものです。

 

このツイッターを見た時、泉市長殿は市民に対して、ここまで恐ろしい個人攻撃をやってのけるのかと戦慄を覚えずにはいられませんでした。

 

果たして、「市民病院前の地域、ちょっとした大雨で汚水が逆流する事」はデマであり、巧妙な誹謗中傷なのでしょうか、それともこれをデマだと攻撃することこそが巧妙で悪質極まりない誹謗中傷なのでしょうか。行政の公文書や市議会でのやり取りなどを引用し、事実関係を調べてみます。

 

瀬戸内海式気候、しかし都市化が進行し…

明石市は、温暖かつ雨量が比較的少ない「瀬戸内海式気候」の地域に該当します。夏の季節風四国山地に、冬の季節風中国山地によって遮られるため、台風が直撃することは極めてまれであり、また冬に積雪することもほとんどありません。年間降水量は、約1100mm と全国平均の約1700mm を大きく下回ります。

 

雨量が比較的少ない明石では、先祖の人たちは、水害よりも干ばつ・渇水が悩みの種でした。明石やその周辺地域には、ため池が多数存在しますが、これは、春先から夏にかけて多量の水が必要になる時季に水田など耕作地へ供給することができるよう、先人たちの知恵として、整備されてきたものです。

 

歴史的に渇水対策が地域社会における重要な政策課題であった明石では、逆ベクトルの洪水・浸水対策が意識されることはありませんでした。もちろん、四国山地によって季節風や台風がブロックされやすいという地理的条件に恵まれているとはいえ、明石でも時に大雨が降ることがありました。だけど、農地やため池の保水・遊水能力のおかでげ、降雨が多量に短期に地表に流出し、被害をもたらすことまれだったのです。

 

補足説明すると、農地や緑地には、雨を浸透、あるいは蒸発散させるなど、時間をかけて雨水をゆっくりと流出させる機能があります。降った雨100%とすると、昔は、地下に浸透したり、蒸発散するのが60%程度、地表に流出するのは40%程度に過ぎなかったのです。また、ため池が降雨を貯留し、洪水・浸水被害を食い止める調整機能も発揮していました。

渇水、洪水の両方に役立つ明石のため池

 

しかし、現在では都市化の進展によって地表面が舗装され、緑地や浸透域が減少した結果、地下に 浸透する量等は、降った雨の30%程度まで減少し、残り70%程度が地表に流出してしまう状況となっています。 このように、 現在の市街地が有する保水力は、昔と比較すると概ね半分ぐらいにまで低下しており、旧来は溢れることなく流れていた水路でも、増加した雨水を流しきれなくなり、周辺に溢れてしまう水害に脆弱な地理空間となってしまったのです。

 

近年全国で多発する集中豪雨の被害

他方でこの20年間、集中豪雨による被害が全国的に多発するようになりました。地球規模の温暖化が、その原因の1つとされています。地球温暖化の影響として、台風の大型化や線状降水帯などを招き広域的な集中豪雨がもたらされています。また、都市化の影響に伴うヒートアイランド現象によって発生した積乱雲が「ゲリラ豪雨」と呼ばれる短時間に局所的な集中豪雨をもたらすようになりました。

 

2018年(平成30年)6~7月にかけて西日本を中心に多くの地域で河川の氾濫や浸水害、土砂災害が発生したいわゆる「西日本豪雨」は、死者数が200人を超える甚大な災害となりました。2018年9月の台風21号では、死者14人の人的被害をもたらしただけでなく、関西国際空港の水没をもたらしました。2019年(平成31年)10月に発生した台風19号では、千曲川の決壊によって北陸新幹線長野新幹線車両センターが浸水し、新幹線10編成が水没してしまいました。

 

局所的なゲリラ豪雨の被害としては、2008年(平成20年)7月に神戸市の都賀川で発生した鉄砲水の恐怖を記憶している人は、少なくないと思います。たった10分の間に川の水位が1.34メートルも上昇し、逃げ遅れた児童3名を含め5人が犠牲となりました。



これらは、最近発生した水害の被害のほんの1例ですが、明石でも同様の被害が発生しないとは言えません。都賀川で発生した鉄砲水のような被害が、朝霧川や赤根川で発生する可能性がゼロではありません。

 

雨量についての全国的な統計データによると、時間雨量50mm以上の大雨は20年前に比べると約1.5倍の頻度となっています。また、時間雨量100mm以上の大雨は20年前の頃に比べて約2 倍の頻度に増加しています。兵庫県はさらに事態は深刻で、20年前に比べ、50mm 以上の非常に激しい雨が、2.6倍の頻度へと、全国平均を大きく上回る状況になっています。

 

平成16年、そして平成20年の明石での浸水被害

ここからは、この20年間の明石における浸水被害を見ていきます。まずは、明石市の「明石市総合浸水対策計画」(平成21年3月)、兵庫県の「神明(明石川等)地域総合治水推進計画」(平成27年3月)を踏まえ、平成16年から平成23年に至る主な例を取り上げます。

 

平成16年には、日本には過去最多となる10個もの台風が上陸しました。そのうち、16号、18号、21号、23号の4つは明石市内でも浸水被害をもたらし、4つの台風の合計で計176箇所で浸水が記録されています。

 

台風21号は、時間雨量が最大 84mm(兵庫県雨量観測所)と非常に大きく、明石市内だけで少なくとも108箇所で浸水被害が発生しました。 台風23号は、時間雨量が最大 47mm(兵庫県雨量観測所)の雨が降り、確認されたものだけでも82箇所の浸水被害が生じました。台風23号は長雨であったことから、総雨量が267mm(兵庫県雨量観測所)にも達しました。このとき明石川では、氾濫の恐れがあったことから、流域住民に対して避難勧告が行なわれました。

 

平成20年7月8日 の昼には明石でゲリラ豪雨が発生しました。この日は、上空の寒気や南からの暖かく湿った空気の影響により、大気の状態が不安定になったため一時的に激しく降りました。確認されものだけでも、明石市内で床上浸水2箇所、床下浸水が13箇所、道路冠水等が80箇所という被害がありました。



平成22年7月の梅雨前線豪雨では、明石川、瀬戸川、赤根川が氾濫し、宅地や農地に被害が生じました。

 

平成23年8月には、台風12号に伴う豪雨で瀬戸川が、台風15号に伴う豪雨で明石川、谷八木川、朝霧川が氾濫し、床下浸水、床上浸水を招きました。

 

次いで、平成24年以降の例を、市議会の議事録をもとに取り上げます。

 

平成24年10月9日に開催された「平成23年度決算審査特別委員会」において、進藤下水道部長は、「本年7月20日の早朝にも強い雨による明石駅周辺や国道2号の道路冠水の浸水被害が発生したところでございます。」と答弁しています。

 

平成24年7月20日の雨については、平成26年9月17日に開催された「建設企業常任委員会」において、森本下水道建設課長が次のように答弁しています。

右の写真が、平成24年7月20日の朝に発生しました、国道2号の道路冠水の様子です。一段高い歩道も含めまして、境界なく水浸しとなっていることがわかると思います。

 

平成24年7月20日の雨ですが、これが実は時間39ミリやったんです、それでも冠水していると。今現在あります合流管が昭和40年代の計画でございまして、非常に古い管で、その当時の雨の量で41ミリの計算でもつ管を想定したということでございますが、やっぱり40年、50年近くなりますと、市街化がなりまして、昔は土の中にしみ込んでいた雨が、市街化とともに、直接、雨が流れるということで、非常に41ミリ相当では整備しておりますが、実際にはそれよりも弱いというんですか、雨に弱い能力しか持っていないというふうな状態になっております。

 

1時間雨量が41ミリに耐えられるよう排水対策を行っていたにも関わらず、1時間雨量39ミリの雨で冠水が生じてしまったことへの危機意識を表明しておられます。冒頭に取り上げた、泉市長のツイートとはずいぶんと浸水被害への認識に解離があるように感じますが、下水道建設課長は議会の場でデマを拡散していたのでしょうか。

 

平成26年8月10台風11号による被害

平成26年8月10日には台風11号による豪雨で、明石市でも浸水被害が多発しました。同年9月9日に開催された議会の定例会では、各議員から自らの体験を踏まえた切迫感のある問題提起がなされているので、紹介しておきます。

 

まずは、梅田宏希議員の発言です。

明石市におきましても、8月10日の台風11号上陸により大変な雨量を記録しました。特に午前9時から10時にかけてが最も多く、時間雨量が明石で60ミリ、魚住で46ミリ、二見で37ミリを観測し、人的被害はなかったものの、床上浸水8件、床下浸水44件の被害が発生しました。心からお見舞いを申し上げます。私は、午前9時から10時半の間に大久保駅北部をパトロールいたしましたが、近年では大久保地域は10年前の平成16年の台風21号が一番の雨量を記録し、そのときの冠水地区を回りました。大久保町西脇口が約30センチの冠水、大久保駅北の旧街道が20センチぐらいで、10年前からの改善が見られない状態でございました。最も心配したのは、豪雨が短時間に集中した場合、大久保北部丘陵地の宅地開発による鉄砲水に赤根川の治水能力が耐えられるかでありました。赤根川が宅地を縦断している神明住宅自治会では、役員や近隣の住民の皆さんが監視をしておりましたが、富士通明石工場北で一部が越水し、大変に心配いたしました。赤根川は河川改修が進んでいますが、今回越水したことを受けて、県土木との協議を進めていただきたいと思います。また、大久保地域を初め、冠水が常態化している箇所については、10年間改善されておりません。

 

この被害の要因について、中島真 土木交通部長は、次のように答弁しています。

雨水対策についてでございますけども、本年8月1日の台風11号によりまして、この豪雨によります赤根川の北部におきましても浸水が発生いたしたことは、市も確認いたしてございます。この原因につきましては、豪雨により赤根川本線の水位上昇と同時に、赤根川に流れ込む支線の流量もふえ、合流部で本線の流れを阻害し、赤根川本線がせき上げられたことによりまして、合流部の上流で急激な水位上昇が起こりまして、堤防を溢水したものと考えております。

 

 

西明石や国道175号線の被害状況ついては、永井俊作議員の発言が参考になります。

 このたびの台風11号並びに集中豪雨、土砂災害で大変な被害が起きました。亡くなられた方々や被災をされた方々に、心からお悔やみ並びにお見舞いを申し上げます。

 台風11号は、8月10日、10時過ぎ、赤穂付近に再上陸をし、明石市も1時間当たり60ミリの豪雨のため、床上浸水や床下浸水、道路冠水、法面の崩壊などの被害が出ました。また、かにがさか、和坂のお大師さんの旧西国街道を川のように雨水が流れ、国道175号とJRの交差部分が道路冠水をし、国道175号が車両通行どめになりました。西明石町でもバス道路が30センチ冠水し、商店が2軒、さらには西明石町3丁目、4丁目でも床下浸水や水洗トイレの逆流、吹き出しなどの被害を受けました。しかも、道路冠水したバス道路、さらには区画街路などは、数百メートルに及んでいます。バス道路では、バスや車両が通行することにより、その波が設置をした土のうを乗り越えて床下浸水も発生をしています。消防団の協力を得まして、地域住民で結成しているお助け隊が、道路冠水をしたバス道路への車両進入禁止や、公民館の周囲に土のうを積んで浸水を防ぐなどの手助けを行いました。あと10分雨が降り続けば、西明石町公民館も床上浸水になっていたと思いますし、被害がさらに拡大をしていたというふうに思います。しかし、西明石町の浸水被害は今回だけではなく、ゲリラ豪雨のたびに道路冠水や床下浸水が出ています。行政も種々の対策を講じていただきましたが、抜本的な対策を実施しなければ被害を繰り返すだけであります。

 

国道175号というのは、明石、三木と結んでいるんですけども、本当に幹線道路なんですね。それがゲリラ豪雨のたびに車両通行どめになるというのは、非常に本当、異常だと思うんですよ。これは市だけじゃなくして、国土交通省も含めて真剣に考えなあかんし、確かにあそこで2メートルの雨水幹線を海まで持っていくとなると莫大なお金がかかるというのはわかってますけど、やっぱりそういったことの申請を、国へもしっかりしてもらいたい。というのは、もうちょっと10分でも20分でも降って、その水が古城川に流れて、古城川があふれるということになりますと、大道町なり王子なり、その南側の硯町なんかも冠水するわけですよ。

 

私が和坂の役員の方に聞いたらば、そういう話じゃありませんよ。市長ね、今そういうやりとりをしてるんですけども、毎年、バス道路がつかるんですよ毎年、何件か床下浸水になるんです。今回も公民館自身が床上浸水になるのを、土のうを積んで、公園の砂を土のうに詰めて、土のうを四、五十個積んでカバーしたんですよ。そんな状況の中で、本当に安全なまちづくりと言えるんでしょうかね。

 

松井久美子議員は、魚住の状況について語ります。

 先月の台風11号では、市内の40カ所が浸水したと聞いています。私の地元の魚住町西岡の一部では、北側の安政池方面からの急激な雨水で、床上、床下浸水や、浸水による車の廃車、水の勢いでブロック塀が倒れるなど、大きな被害が出ました。この地域は、10年前の平成16年にも同様の被害があり、古くからお住まいの方は、これで3回目だと言われています。

 

明石駅前でも、またしても冠水が発生しました。平成26年9月17日に開催された「建設企業常任委員会」において、森本下水道建設課長が次のように答弁しています。

明石駅前地区の下水道は、古くから整備された生活排水と雨水の両方を流す合流式下水道ですが、近年の集中豪雨に対応できず、毎年のように浸水被害が確認されており、早期の対策が課題となっています

 

(明石)駅前については、皆さんご存じのように、雨が降れば常に冠水すると、それと床下浸水が発生するということで非常に問題が多い部分、それと、当然、市の中心地でそういう状態が起こる、それと国道2号、国道でも一桁台の道路がそういう状態が起こるということが非常に問題がありまして、私どももずっと常日ごろ危機感を持ってたところです。

 

余りにも平成16年度以来、余りにも頻繁に(浸水被害が)起こる、平成22年度にもゲリラ豪雨がありましたし、この写真の平成24年度にもありました。先月(※平成26年8月)もありましたということで、頻繁に起こるということで、(略)

 

おわりに

今回取り上げたような浸水被害を踏まえ、明石市では「明石市総合浸水対策計画」(平成21年3月)、兵庫県では平成24年4月に「総合治水条例」が施行されるとともに「神明(明石川等)地域総合治水推進計画」(平成27年3月)を策定し、対策を進めてきました。

 

これらの計画等を踏まえた対策の進捗により、浸水のリスクは多少は軽減しつつあると思われます。しかしながら、地球温暖化ヒートアイランド現象などに起因する集中豪雨の頻度や降水量が増大し、人的被害も増悪する状況下で、明石でもいつなんどき想定外の被害が発生するかわかりません。このため、最悪の事態を想定し、万全の対応が求められます。

 

浸水被害をナメてかかる泉市長のものでは、いずれ水害による大禍が発生することでしょう。それにしても、浸水被害を経験してきた市民の切実な意見を、デマなどと攻撃し誹謗中傷するような行為を平然とやってのけるところ、泉房穂市長の強権体質ここに極まれりですな。

 

 

 

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