泉房穂(前)市長の御言葉を検証する明石市民の会

泉房穂(前)市長の過去の発言を振り返り、明石や日本の将来について考えます

「あかし3割おトク商品券」の財源は市長のポケットマネー? 泉房穂の盗人根性(その2)

さて問題です。明石市ではコロナ禍において3回にわたって、市民を対象に「あかし3割おトク商品券」なるプレミアム付き商品券が販売されました。この事業の財源は何でしょうか(費用は誰が払っているでしょうか)?

(1):泉房穂市長のポケットマネー(個人資産)
(2):明石市の市税(市民があまねく負担)
(3):国の税金(国民があまねく負担)
(4):明石市の市債(市民が将来負担する借金)
(5):その他

 

 

さらに追加問です。事前選挙運動を熱烈展開中の中川なつみ氏は、2月1日に「3割おトク商品券、GET! ありがとうございます」とツイートしています。さて、彼女は、何(誰)にして謝意を表しているのでしょうか?

(1):ポケットマネー(個人資産)を供与された偉大な泉房穂市長への謝辞
(2):市民があまねく負担した市税を原資とした利得を、自身がGETするきっかけを与えてくれた偉大な泉房穂市長への謝辞
(3):日本国民があまねく負担した国税を原資とした利得を、自身がGETするきっかけを与えてくれた偉大な泉房穂市長への謝辞
(4)将来の市民が負担すべき借金を、自身が先食いする利得を与えてくれた偉大な泉房穂市長への謝辞
(5):その他



 

ともあれ、一部市民の間では、「3割おトク商品券」について、泉市長に謝意を表明するのがブームになっているようですね。

 

 

 

「あかし3割おトク商品券」とは

冒頭の設問についての回答は後述するとして、まずはこの商品券がどのようなものか見てみましょう。「あかし3割おトク商品券」は、明石市による事業として、市内の特定の店において期間限定で使用できる500円の商品券が13枚付いた商品券のシートが5000円で販売されたものです。5000円を支払うと6500円分の商品を購入できるということで、名前のとおりプレミアム率が3割の商品券です。



政策目的としては、新型コロナウイルス感染症に係る緊急経済対策として地域商業活性化(すなわち地元の商店の売り上げを伸ばすこと)が一義的な効果として設定され、併せて、購入する市民にとっても安く物品が購入でき生活支援になるという付随効果も期待されていました。

 

この商品券、初回は2020年7月22日から9月22日までが利用期間で、総販売冊数は112,500冊(大量買い占めを防ぐため購入上限は1人3冊まで)で、金額に換算すると、流通総額は7億2,890万円だったようです。

 

第2弾は、2022年9月1日から10月31日までが利用期間で、総販売冊数は16万冊で、換金総額は10億4000万円(プレミアム分2億4000万円)だったようです。
http://www.city.akashi.lg.jp/gikai/torikumi/hatsugen/shiryou/documents/5041213seibun10.pdf

 

第2弾の事業は、コロナ禍だけではなく、ロシア・ウクライナ戦争に端を発する物価高騰などの影響を踏まえ、市民生活と地域経済への応援が政策目的と謳われています。

 

さらに先般、利用期間を2023年2月1日から3月31日までとする第3弾の商品券が販売されました。第3弾も、政策目的は2回目と同一とされています。

 

ところで、1回目と2回目は紙での商品券のみでしたが、第3弾は、紙タイプとデジタル商品券の両方が併売されました。いずれも1500円のプレミア付きで5000円で販売され、紙タイプは10万冊、デジタル商品券は10万セットが売り出されました。換金総額は13億円、プレミアム分は3億円となっています。

http://www.city.akashi.lg.jp/gikai/torikumi/hatsugen/shiryou/documents/50411seibun01.pdf

 

ちなみに、他の自治体でも同様のプレミアム付き商品券が販売されてきましたが、多くの自治体では令和2年度の時点で非接触型キャッシュレス決済のデジタル商品券が導入されていました。明石は、他の自治体から3年遅れで、ようやくデジタル化が図られたということになります。ただし、気の毒なことに、第3弾の売れ行きはどうやら芳しくないようで、泉市長が何度も何度もツイートで販売促進をやっています。

 

 

「あかし3割おトク商品券」事業の所要経費

さて、3回にわたる「あかし3割おトク商品券」事業において、幾らの経費がかかったか、想像がつくでしょうか。市の負担は商品券1セットにつきプレミアム分の1500円だから、発行セット数×1500円が、市の予算額だろうとイメージがわくかも知れませんね。3回の合計発行数は57.25万セットなので、1500円をかけると8億5875億円となります。

 

ということで当該事業に要した費用は、3回の総計でズバリ8.6億円弱也。こうソロバンを弾いた人がいることでしょう。しかしながら、事業に要する費用は、プレイミアム分の代金だけには留まりません。

 

事業を実施するには、様々な事務費用が発生します。まず、事業に参加する商店が、市に対して申請する手続きが必要です。また、各商店に事業実施の協力を求めるべく、市の担当者から商店街の組合などへの働きかけや調整が行われて、そのための費用も必要です。また、市民に対する事業の広報(購入の呼びかけ)、商品券や封筒、チラシの印刷経費も発生します。デジタル商品券の導入に際しては、コンピュータのシステム構築も必須です。さらには、お客さんが支払いに用いた商品券を、各商店において金融機関(日新信用金庫が受託)で現金化しますが、金融機関への手数料などなど、諸経費が必要となります。

 

これら事務費用として、幾らぐらい要したのか想像がつくでしょうか。答えを明かすと、1回目の事業では決算ベースで、プレミアム分の1億6875万円以外に、事務費として1445万円を要しています。第2弾の事業では、プレミアム分と事務費等を合わせて3億円が予算措置されています。第3弾の事業では、プレミアム分の3億円のほか、1.35億円と極めて多額の事務経費が発生しています。おそらくその大半は、デジタル商品券の導入に関するシステム関連経費だと思われます。

 

以上のように、3回にわたる「あかし3割おトク商品券」事業において、のべ57万枚の1500円お得商品券セットを販売するのに、約9億円の予算が活用されたことになります。

 

いよいよ冒頭の問の答えを解説します。もう一度、問を引用しましょう。

 

さて問題です。明石市ではコロナ禍において3回にわたって、市民を対象に「あかし3割おトク商品券」なるプレミアム付き商品券が販売されました。この事業の財源は何でしょうか(費用は誰が払っているでしょうか)?

(1):泉房穂市長のポケットマネー(個人資産)
(2):明石市の市税(市民があまねく負担)
(3):国の税金(国民があまねく負担)
(4):明石市の市債(市民が将来負担する借金)
(5):その他

 

正解は、決して(1)でも(2)でもなく、正しい答えはズバリ(3)なのです。厳密性を追求すれば、第1回目の事業の決算額1億8320億円のうち、550万円だけは市税等(一般財源)が充当されています。ですので、厳密には(5)かも知れませんが、一般財源のウエイトは微々たるものなので、ほぼ全て国税に依るものだと言って過言ありません。

 

さらに探索を進めたところ、550万円は一般財源と言いつつ、市民などからの寄付金である「新型コロナウイルス感染症あかし支え合い寄附金」1.8億円から捻出された可能性が高いと推定されます。と言うのも、「3割おトク商品券事業」に直接充てた金額は明記されていませんが、当該寄付金の使途として、「3割おトク商品券事業等」に3000万円を活用したとされているからです。

http://www.city.akashi.lg.jp/gikai/torikumi/hatsugen/shiryou/documents/soumu06_11.pdf

 

いずれにせよ、「あかし3割おトク商品券」事業の経費のほぼ全額が、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」という名称の国庫補助金を活用して実施されたことが判ります。この交付金は、コロナ禍において、国が自治体を通じて国民の生活をサポートするため、令和2年度から4年度にかけて、総額17兆1260億円が全国の都道府県及び市町村に配分されました。この交付金は裁量性が高く、各自治体がそれぞれ創意工夫をこらして事業を実施することができるのです。

 

さらにマニアックに説明すれば、「あかし3割おトク商品券」事業の1回目と2回目の経費のうち、いずれも8070万円が兵庫県から明石市に交付されています。従って、約9億円の当該事業のうち、1.64億円は県の歳出予算を財源としているとみなすことができます。だけど、この1.64億円の県予算についても、ルーツを辿れば、やはり国から「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」として兵庫県に配分されたお金なのです。ですので、いずれにしても、国のお金、すなわちあまねく国民が負担した税金によって、「あかし3割おトク商品券」事業が実施されているということを忘れてはなりません。

 

泉房穂市長は、潤沢な予算を持っているはずの国や県が生活苦の国民に対して何ら支援を行わないのは不埒極まるとアジテートしていますが、国は自治体を通じてコロナ禍で厳しい状況におかれた国民の生活を地域の実情に応じてサポートするため、しっかりと財源投入を行ってきたのがコトの真相です。まともな首長たちは、市民に対して当該事実をしっかり情報提供しています。

 

けれども、盗っ人よろしく、国が自治体を支援するために助成した補助金を「横領」し、あたかもこの事業が、自身のポケットマネーか、あるいは市民から預かった税金(市税)を財源としたものであるかのようにウブな市民にウソうぶく泉市長は、卑劣で悪質な人非人だと言わざるを得ませんね。

 

 

(追記)「あかし生活・地域経済応援キャンペーン事業」と「3割おトク商品券事業」

 

3割おトク商品券事業は、上述のとおり3回にわたって実施されてきました。ところで、第1弾及び第3弾と、第2弾とでは、予算の科目が異なります。第1弾及び第3弾は、商工費振興費という科目の「3割おトク商品券事業」という事業名で実施されていた事業です。

 

当該事業名で、第2弾事業の根拠となる歳出予算をくまなく探しました、見つけることができず正直悩みました。もしかすれば、またしても専決処分で事業を実施したのかと疑いましたが、地方自治法第233条第7項の規定に基づく報告を読んだら、謎が解けました。

https://www.city.akashi.lg.jp/zaimu/zaisei_ka/shise/zaise/aramashi/zaise/documents/r3kessanfunintei.pdf

 

というのも、第2弾は、「3割おトク商品券事業」という予算名で歳出予算が組まれたものではなく、もともとは令和3年度当初予算において「あかし生活・地域経済応援キャンペーン事業」という事業名で予算措置されていたのです。しかし、令和3年度明石市一般会計歳入歳出決算が不認定となったことに伴い、当該事業は令和4年度に繰り越されることとなり、当初予定していた事業内容とは異なる形で、3割おトク商品券の第2弾として流用されることになったようです。

 

ところで、もともと「あかし生活・地域経済応援キャンペーン事業」として令和3年度に予定されていた事業は、「プレミアム付き商品券事業だけでなく、「新しい生活様式」として推奨されている非接触型のキャッシュレス決済によるポイント還元事業など を含めたコロナ禍における市民への生活支援及び地域経済の活性化に向けた取組を進める」という内容のものであり、3割おトク商品券事業とは内容的に非なるものです。

 

このように、当初の事業目的とは異なる用途に予算流用することについて、予算支出の適正さの点で疑問が残ります。令和4年6月23日の生活文化常任委員会に一応諮っているとはいえ、資料はごまかしが目立ち好ましいものではありませんね。

http://www.city.akashi.lg.jp/gikai/torikumi/hatsugen/shiryou/documents/5040623seibun13.pdf