泉房穂(前)市長の御言葉を検証する明石市民の会

泉房穂(前)市長の過去の発言を振り返り、明石や日本の将来について考えます

泉房穂明石市長が国権の最高機関で発言した噴飯ものの自慢話

 

一般論として、政治家の言葉には責任が伴うものであり、嘘偽りの発言は政治家にとって命取りになりかねないものです。ただ。一般論として責任が伴うものであるとは言えども、政治家の発言についても、発言する場面によって、発言の重みや責任の大きさには差異があります。

 

今日では、ポピュリズム型政治家が、ツイッターなどのSNSを駆使して自己主張をすることが一般化していますが、社会の受け止めとして、政治家の発言であったとしても、SNSでのつぶやきについては、何ら重みがあるものではないと見なされ、軽視される傾向にあります。

 

この点、政治家にとって、最も責任を伴うのが議会での発言です。市長であれば、市議会での発言内容は政治生命に直結するものです。国の閣僚や国会議員であれば、国会での発言内容が厳しく社会から問われます。

 

ふだんテレビを見ていると、国会といえば、野党議員がパフォーマンスを繰り広げたり、与野党で茶番劇を行う場であるという印象を受けがちですが、日本国憲法では「国権の最高機関」と位置づけられている場です。

 

さて、我らが泉房穂市長は、2022年6月7日に国権の最高機関たる国会で発言する機会を得ています。具体的には、参議院の内閣委員会において、こども家庭庁設置法案等の審議に係る参考人として招聘され、明石市の施策について講演しています。

 

泉市長は、国会に招聘されたことがよっぽど嬉しかったようで、何度もツイートで自慢してきました。なので、泉市長のツイートのフォロワーの間では、泉市長が国会で講演したという事実は知れわたっていますが、具体的にどのような発言をしたのか、その中身までは必ずしも知られていないように思われます。

 

このため今回は、泉市長の発言内容について周知するとともに、本ブログでの今後の検証(ファクトチェック)作業にあたってのノートとして、参議院内閣委員会の議事録から、泉市長の発言内容をそのまま引用します。なお、今回は発言内容を引用することが目的であり、内容についての論評・検証は行いませんので、ご了承ください。

 

ちなみに、講演資料については、明石市のホームページに掲載されています。

https://www.city.akashi.lg.jp/seisaku/shichou_shitsu/shise/shicho/documents/20220607sangiin.pdf

 

 

国会会議録

第208回国会 参議院 内閣委員会 第20号 令和4年6月7日(抜粋)

 

参考人泉房穂君) 泉です。
 まずは、このような機会をいただき、本当にうれしく思います。ありがとうございます。加えて、委員長から忌憚のない御意見をと言っていただきましたので、忌憚なく意見を言わせていただきますので、皆さん御理解よろしくお願い申し上げます。
 お手元の資料に沿ってお話しさせていただきます。


 長らく日本は少子化の加速や経済の停滞と言われておりますが、その原因の一つは、やはり私たちの社会が子供に冷た過ぎるのではないかと思えてなりません。子供を本気で応援すれば、人口減少の問題に歯止めも掛けられますし、経済も良くなっていくと、私はそのように考えております。実際に、明石市では、決断をして実行したので、良くなってきています。


 実際の明石市がどのような取組をして今どんな状況にあるのか、そして、今後どうしていくのか辺りをお伝え申し上げ、是非議論の参考にしていただければうれしく思っております。よろしくお願い申し上げます。


 三ページ御覧いただくと有り難いんですが、明石市は、子供についてあれもこれも施策展開をし、人口増、そして地域経済は活性化しております。本当にうれしい限りであります。


 では、どんな施策をしているのか。六ページであります。
 明石市としては、いわゆる経済的な施策としての負担軽減のための無料化もしておりますが、それだけではありません。必要なのは、お金だけではなく、寄り添う、そういった施策も必要であり、この両方をしているのが明石市の特徴の認識です。


 まずは、無料化の方からです。
 明石市独自の五つの無料化と銘打っておりますが、全て所得制限はありません。全ての子供ひとしく対応するのが特徴で、例えば、医療費については、十八歳まで完全無料です。市外の病院も無料、薬代も無料です。お金は要りません。なぜなら、先に税金や保険料で国民の皆さんから預かっているという認識でありますので、明石市はお金を取りません。


 保育料は、二人目以降完全無料です。三人目も四人目も、子供の年齢も関係ありません。そんなせこい要件は課しません。おむつについては一歳まで無料で、家にもお届けします。給食費は中学校まで無料。遊び場も、親子ともみんな無料にしていっております。


 加えて、次のページであります。
 加えて、寄り添う施策。明石市では養育費を立て替えて払っています。親子の面会交流で、別居している親子のまさに時間をつくっています。戸籍のない子供について支援もしております。児童扶養手当は毎月支給しています。そして、子供食堂は全ての小学校区にあります。児童相談所の改革で、第三者の審査も国に先立って実施しております。これら全部、全国初です。自慢できることではありません。世界でのグローバルスタンダードが、日本だけやっていない政策ばっかりなんです。日本がしないからやむなく明石市がグローバルスタンダードの施策をしているだけでありまして、私としては、子供に対して申し訳ない気持ちで、遅まきながらやっているという認識であります。これらの施策、是非国でもやっていただきたいと思います。


 加えて、コロナ禍においてでありますが、ページ数十五ページ以下になりますが、明石では、コロナの状況の中で大学を辞めかねない学生に代わって、百万円上限で、本人と親に代わって大学にお金を振り込みました。親は金がありません。子供もない。だったら行政が百万円までは持つと。そして、就職した後ぼちぼち返してもらうということもやりました。高校の進学も大変なので給付型の奨学金もつくり、一億円以上の予算を計上しております。一人親家庭には国に先立ち五万円の上乗せもしましたし、十万円支給につきましても所得制限は当然撤廃しております。生理用品につきましては、本年度からは全ての市立の小中高校、養護学校のトイレに生理用品を常備しております。こんなことはほかの国ではやっていることなんです。これぐらいのことは、こども家庭庁とおっしゃるんだったら、是非次年度以降に具体化していただきたいと切に願う立場であります。


 加えて、二十一ページ。
 明石市では少人数学級化も先立ってやっております。小中一貫校では全学年三十人学級を実現しております。金は掛かりますけど、子供には金を掛けるべきなんです。学童保育につきましても、教員免許のある者が半分以上おりますし、研修についても全国の中核市で初めて自ら研修を実施しております。人がいなければ育てるということだと思っております。


 こういったことをいっぱいした結果どうなったかが二十三ページになります。
 こういった子供に優しい施策をすることによって何が生まれたか、安心です。


 二十四ページ、御覧ください。
 明石市民で住みやすいという方が九割を超え、九一・二%が住みやすいとお答えいただいております。生活満足度の民間調査だと関西一位、全国戻りたい街ランキングはついに全国トップに躍り出ております。つまり、こういった町こそが住みたい町なんです。


 実際どうなるか。次のページです。
 人口です。明石市も、私が市長に就任した十一年前は既に人口減少始まっていました。それが下げ止まって、今、九年連続人口増、過去最高人口を更新し続けており、ついに中核市、六十を超える中核市の中で全国一位の人口増加率になっております。出生率も上がり、二〇一八年度は一・七〇まで上がってきております。しっかり子供に力を入れたら出生率は上がるのは明らかであります。そのように思えてなりません。


 そして、次のページ、二十七ページに入ります。
 こういって人口が増えると、人気の高まる町になるとどうなるか、人がやってきます。住む人も増えるのみならず、来る人も明石は七割も増えております。その結果、今、新店ラッシュで、明石周辺はどんどん飲食店が増えてきております。地域経済は活性化し、コロナ禍なのに昨年度は過去最高利益をたたき出しております。地価も上がり、例えば明石駅前のマンションは、五年前の新築マンションが今中古で二倍の価格で売買されております。こういった状況に明石は入りました。


 そして、そうやってお金が動き始めますと何が起こるか、税収が増えます。次のページであります。
 明石は、税収が八年前に比べ三十二億円増えております。貯金につきましても、私が市長に就任したとき、どんどん減って七十億円でしたが、今、百二十一億円。明石はあらゆることにお金を使っておりますが、それでも五十億円積み足しているんです。そして、財政は健全化し、兵庫県下で最も実質公債費比率がいい市になり、今もトップレベルです。


 繰り返しお伝えしますが、お金がないからせこいことするんじゃなくて、お金がないときこそ子供に金を使うんです。そうすると、地域経済が回り始めて、お金が回り始めることを是非お伝え申し上げたいと思います。


 こういった税収が確保できましたので、次のページです。
 明石では、子供のみならず、高齢者、障害者、犯罪被害者やLGBTQ+のテーマについても全国初の施策が展開できております。つまり、お金ができてきたので、子供だけじゃなくてみんなに優しい町がつくり出せたということだと理解をしております。
 では、こういったことをするにはどういったことが必要だったかを次からお伝え申し上げます。


 三十一ページです。
 五つのポイントにまとめております。まずは発想の転換です。子供を応援するのは子供のためだけではありません。私も含めたみんなのための施策と、この発想の転換が一番大事だと思えてなりません。そして、組織の連携、予算の倍増、人の育成、地域の協力、この五点をお伝え申し上げたいと思います。


 改めて発想の転換です。三十三ページに記載しております。全ての子供たちを町のみんなで本気で応援すれば、町のみんなが幸せになる。ポイントは特に大きく二つです。本気です。ふりではないんです。もうふりをやっていられる時代ではありません。本気で子供の応援をするんです。そして、そのことは、まさに国民みんなのためだということを語るということが私は大変重要だと思っている立場であります。


 次のページに行きます。三十五ページです。
 組織の問題に入ります。
 これは、まさにこども家庭庁の問題でもありますが、明石市でも同様に最初に組織から実は入りました。私が市長に就任したのは十一年前の二〇一一年、その翌年の二〇一二年に、明石市でも、こども未来部という組織再編をしております。ただ、ポイントは、組織再編に加えて条例を改正し、幼稚園の権限や図書館の権限を教育委員会から市長の方に移しました。これがポイントなんです。そうすることによってより連携が強化できたわけであります。


 その結果、次のページになりますが、例えば明石市では、公立の幼稚園の中に民間保育所を余裕教室の中に入れました。ドッキングしたんです。そして、公立幼稚園は全てこども園化に向かっている状況になりました。まさに連携強化ができたことです。そして、小学校につきましても、明石の小学校の中で地域のボランティアの子供食堂が実施できています。


 また、もう一つ、児童相談所の一時保護所から、明石では元いた小学校、中学校に当たり前に通えているんです。日本で明石だけです。でも、世界では当たり前です。なぜできたのか、学校と連携しているからなんです。加えて、警察も連携するから、リスクの回避、軽減を図っているからなんです。みんなで力を合わせたら、それぐらいのことはできるわけであります。是非これも国の方で制度設計をお願いしたいと考えておるところであります。


 少し飛びます。三十九ページに入ります。
 是非、国の方には連携をお願いしたい。こども家庭庁は、私は基本的にはいいことだとは思います。もっとも、厚労省内閣府のドッキングだけで済むわけがありません。大きく三つ。当然、文科省との連携強化必要ですが、更に加えて、関係省庁、法務省警察庁総務省財務省などなど、あらゆる省庁との連携強化が必要であり、加えて、行政のみならず司法や立法とのより連携を強化していく、特に裁判所のテーマにつきましても、是非連携強化をお願いしたいと考えておる立場であります。


 そして、もう一点、今の話はいわゆる横の連携の問題です。次に縦の問題に入ります。国、都道府県、市町村、このテーマであります。


 是非国にお願い申し上げたいと思いますが、残念ながら、法律上は国と地方は対等というふうに言われておりますが、実際そうはなっておりません。本当に私自身も、本当に悔しい思いをしてまいりました。


 例えば、明石市では、子供の医療費の無料化をどんどん拡充図って、十八歳まで無料化しました。何が行われたか、国による嫌がらせです。千八百万円も国のお金を減らされています。どういうことですか。国は地方を応援しているんじゃないんですか。子育てに頑張る地方に対して仕打ちするようなことやめていただきたい。本当にそれは切にお願いしたいと思います。


 加えて、地方財源については、地方の特性に応じて自由にお金を使わせていただきたい。幼保の無償化はもちろん賛成ではありますが、その財源は国の責任でやるべきであって、地方消費税増税分を、勝手に子供の貯金箱から金を持っていくようなことをやめていただきたい。お年玉の使い道は、子供のためだからといって親が決めるものではありません。子供の使いたいように使えるようにする、地方の判断に任せる、このことは是非お願いしたいと思います。


 何がポイントか。子供がど真ん中ということは、誰が一番近いんですかというテーマです。子供に近いのは市町村です。一人一人の子供の顔に向き合えるのは地域であり、市町村なんです。子供を大切にするのであれば、是非地域や地方を大事にしていただきたい。国が上ではありません。国が上でその下に都道府県、そのまた下に市町村、だったらその下に子供ですか、違うと思うんです。ど真ん中に子供、そのすぐそばに市町村、地域、そして都道府県が応援し、国がある意味財源の責任を持つということを是非お願いしたいと考えております。


 続きまして、四十三ページです。
 お金の問題です。
 明石市では、私が市長に就任する前に比べて子供の予算を倍増しました。言葉どおり倍増です。百二十六億円だった予算を今は二百五十八億円、まさに倍増したんです。だから明石は子育て支援ができるんです。気持ちだけでできません。金は要るんです。どうしてつくったか。うちは貨幣は発行できません、国債も発行できないし、保険制度もつくれません。やりくりでやったんです。


 このことは明石だけではありません。次のページ、明石周辺も続々と明石同様の施策に今転換していっているんです。地方だって金に余裕があるわけではない。それでも歯食いしばってやっているんです。是非、国の方になお一層の子育て支援をお願いしたいと切に願う立場であります。


 次のページ、人の問題です。お金も要るし、人も要ります。明石では人の育成に力を入れておりますが、実際、子供を担当する職員数、三十九人から百三十五人、今三倍以上に増やしています。ちゃんと子供に寄り添える人がいなかったら、ものはできません。でも、数だけではありません。大事なのは質です。人については、数ではなく、より重要なのは質。そのために明石市では、専門性のある職員、例えば弁護士も十人以上常勤で配置しているところであります。


 児童相談所も、国の基準を上回る二倍以上の職員配置で明石市は児相をスタートしました。なぜか。国のルール守っていたら子供が死ぬからです。どうしてこんなに子供が死に続けるのか。国のルールが間違っているからです。国の基準どおりの人数でできるわけないんですよ、今の状況。そもそもの基準がおかしいんです。なので、明石市では、国の基準を守らずにというか、二倍以上の職員配置で児相頑張っているんです。それでも大変なんです。本当にここは抜本的な児童相談所の充実化をお願いしたい。


 そして、人については、いなければ育てるしかないんです。明石では全国二か所目の研修センターを自らつくって、今、全国にオンライン配信で研修をしております。こういったこと、本当に人を育てることを早く始めてほしいと願う立場であります。


 次に、地域の協力です。物事をするには地域の協力が要ります。明石では町じゅうで取り組んでおります。その結果、全ての地域で子供食堂が立ち上がり、里親についても、五年前に比べてもう二倍以上に里親の数は増えています。やればできるというのを実感している立場であります。


 最後に提案であります。五十四ページ。まずは発想の転換。そして、こども家庭庁こそ連携が必要。予算は次年度から倍増、そして速やかに三倍増。将来っていつでしょうか。来年から倍増、是非お願いしたいと思います。もう待ったなしの状況です。そして、人の問題については、いろいろ議論はありますが、私としては、やっぱり国家資格も含めた更なる検討をお願いしたいと思っております。


 そして、子供食堂を含めてでありますが、地域に任せないでください。任せられたって、非常に悪く言って続きません。ちゃんとそういったボランティア活動にも公的な助成、しっかりそれは必要だと私の方からお願い申し上げたいと思います。


 最後の最後となってまいりました。五十五ページ以下でありますが、改めてお伝え申し上げたいこと、全ての子供たちへの支援をお願いしたい。特に所得制限の問題です。所得制限をしたら予算は減ります。少ないお金でできます。でも、効果は薄いです。そうではなくて、所得制限を掛けない方がむしろ出生率も上がり、経済も良くなるんです。お金は掛かりますけど、より効果は大きいんです。今の判断大事なのは、せこいお金でなくて、思い切ったお金で本気の子育て支援策やと思えてなりません。


 加えて、子供は子供であって、親の持ち物ではありません。親によって、親の荷物ではないんです。もし所得制限掛け続けるんだったら、これからは親ではなく子供を基準にしていただきたい。有名な子役以外はみんな所得制限以下ですから、子供は稼げないんですから、もう是非その点はお願いしたいと思います。そして、子供の意見を聞くことについても改めてお願い申し上げたい。


 最後のページになります、五十九ページ。今日お伝えしたいこと、改めてお伝え申し上げます。子供を応援すればみんな幸せなんです。子供や子供の親だけじゃないんです。お年を召した方や幅広いみんなにとって、そして私たちの社会にとっていいことなんだという発想の転換を是非お願いしたい。


 そして、五つのポイントで特に重要なのは、こども家庭庁というのは二の組織の問題です。それに先立つ発想の転換、そして加えて、何度も言いますけど、金も要ります、人も要るんです。気持ちだけでものは動きません。お金は付けてください、人は育ててください、そして地方や地域を大切にしていただきたい、そのことをお願い申し上げ、私の陳述といたします。


 子供の未来は私たち自身の未来であり、子供の未来は日本社会の未来だと本気で考えております。
 よろしくお願い申し上げます。