泉房穂(前)市長の御言葉を検証する明石市民の会

泉房穂(前)市長の過去の発言を振り返り、明石や日本の将来について考えます

保険医協会との関係を押し隠す、姑息で卑怯な泉房穂明石市長

 

さて問題です。

泉房穂明石市長は、2022年12月20日に、塗り分け地図を引用して、「「こども医療費の18歳までの無料化」が広がっていっている」と述べておられます。この塗り分け地図は、誰が作成したものでしょう。

 1)兵庫県庁が公式に作成した
 2)ご多忙の泉房穂市長ご自身が、わざわざご作成なさった
 3)子ども食堂に尽力されている小谷(泉)公仁子ご婦人が、夫のために作成した
 4)怪しげな民間団体が作成した
 5)権威ある善良な民間団体が作成した

 

まずは、2022年12月14日10時28分の泉市長のツイートを転載します。このツイートでは、「兵庫県のこども医療費助成と福祉医療2022」と題する塗り分け地図を添付して、泉市長がつぶやいておられます。

 

「こども医療費の18歳までの無料化」が広がっていっている。兵庫県内でも、すでに“13市町”が『完全無料化(所得制限なし、自己負担なし)』に方針転換した。明石市の周辺にも拡大していっている。東京23区も実施を決めた。本当はトップの決断次第で来年からの実施も可能。

次は、あなたの街の番だ。

 

泉市長のツイートに引用されている地図のように、統計データなどを階層ごとに色分けしてビジュアル化した地図のことは、「塗り分け地図」とか「コンプレス図」「階層区分図」「マップグラフ」などと呼ばれています。

 

塗り分け地図は、自治体において、管内区域の状況を地域住民にわかりやすく説明するために作成されることがあります。

 

例えば、兵庫県総務部市町新興課では毎年、「兵庫県愛の市町財政の状況」という報告書を公表していますが、県内各市町の財政状況について数値データを羅列するともに、塗り分け地図でビジュアル化しています。参考までに、令和3年度の経常収支比率の地図を見てみましょう。出典は、こちらです。
https://web.pref.hyogo.lg.jp/press/documents/20220930kisyahappyousaisyuussyuusei.pdf

 

また、兵庫県の都市開発部局では、平成27年に「特別指定区域制度を利用してまちづくりを進めましょう」というリーフレットを作成していますが、この資料には、次のような塗り分け地図が載っています。



このような前例があることから、泉市長が引用したこども医療費助成の塗り分け地図についても、兵庫県庁が作成したものではないか、冒頭の質問の正答は1)なのではないか。私たちも当初このような仮説のもとに、ありとあらゆる兵庫県の行政資料を徹底的にリサーチしました。正直、かなりの時間を検索に費やしました。

 

ところが、兵庫県庁の資料をいくら探せども、こども医療費助成の塗り分け地図の発見には至りませんでした。そこで改めて冷静に考えてみることにしました。「待ても、兵庫県庁が県内市町を「底辺への競争」に駆り立てるような、馬鹿げた塗り分け地図を作成するはずがないのではないか。だとすると、県庁以外の主体が作成したものに違いない。」このような推察して、再度、作成主体の検索の旅に出ました。

 

そして努力の甲斐があって、ついに塗り分け地図の作成主体にたどり着くことができました。泉房穂市長が引用した塗り分け地図の出典は、「兵庫県保険医協会」という団体が作成したパンフレットのようです

http://www.hhk.jp/senmonbu/seisaku/files/子ども医療費パンフ2022年.pdf

 

兵庫県保険医協会という団体が作成した「2022こども医療費パンフ」の表紙の塗り分け地図を泉市長はツイートに引用されたようですが、何故か、この地図の一番下の部分だけは削除されています。

 

どうして泉市長は、わざわざ「発行:兵庫県保険医協会」という作成主体のクレジットを削除したのでしょうか。兵庫県保険医協会という団体が、権威ある善良な民間団体であれば、この名称を隠す必要はないですよね。それとも、名義を伏せなければならない怪しげな民間団体なのでしょうか。

 


兵庫県保険医協会とは

ざわざわ発行主体名が隠されていることで、かえって兵庫県保険医協会がどのような団体なのか気になるというのが人情というものです。ここからは、オシント情報(オープンになっている情報)に基づいて、兵庫県保険医協会がどのような団体なのかを確認していきましょう。

 

まず、兵庫県保険医協会のウェブサイトのフロントページを見てみましょう。診療報酬やら新型コロナウイルス感染症やら寄生虫症、くすり情報など、一見すると、医療関係者向けの各種情報が掲載されている情報サイトのような印象を受けます。

 

一番目立つ部分のメイン画像は、スライド式になっていますね。数秒ごとに、画像の内容がかわってしく仕組みで、最初開いたときは、「診療報酬改定 特設ページ」の案内でした。2つ、3つ、画面が変るのを眺めていましたが、医療関係の情報が続きました。ところが、次の画面を見たときには、フリーズしてしまいました。



核兵器にお金を貸すな」という画像が表示されたではありませんか。核兵器問題と医療との直接的関係がよく分りません。訝しく思いながら、この団体のウェブのフロントページを一番下までスクロールしたところ、一番下にリンクのバナーが4つ並んでいるではありませんか。

 

九条の会」「核戦争を防止する兵庫県医師の会」といった記載があります。なるほど、一見、中立的な医療団体に見せかけて、内実は政治活動を目的とした団体なんだな、ということに薄々感づきますね。

 

4つのバナーの右端には「コロナ禍の近畿生活支援・情報発信プロジェクト」と書いてあります。恐る恐る、この部分をクリックしてみました。とすると、次のようなウェブサイトに飛びました。

https://www.osaka-syahokyo.com/kinkisokekki/

 

近畿総決起集会実行委員会とは?

右下の部分を拡大してみましょう。「わたしたちの活動」の下には、「憲法違反の特定秘密保護法を撤廃せよ」というデモ行進の写真が載っています。また、右側の「ひろめる」の上には、街頭での署名活動の写真が示されています。

 

さらに、「生活支援」をクリックしてみると、子ども食堂の案内に移りました。どうやら、子ども食堂の運営にも関わっている団体のようですね。



運営主体を確かめるべく、ほかのページも覗いてみると、「近畿総決起集会実行委員会」の正体は「近畿各府県/社会保障推進協議会・民主医療機関連合会・保険医協会」と明記されています。2021年には「医療・介護・保健所を本気で充実させる全国一斉蜂起0905」というイベントを開催されていたようです。

 

一斉蜂起って、バスティーユ牢獄襲撃やらロシアのプロレタリアート革命が想起されますが、それにしてもコロナ禍のまっただ中に、医療従事者が革命ごっこで盛り上がっておられたのでしょうか。

 

「近畿総決起集会実行委員会」のウェブサイトの「知りたい」をクリックすると、兵庫県保険医協会の「2022こども医療費パンフ」が紹介され、リンクが貼られています。要するに、子ども医療費無料化の旗を振っている団体が、子ども食堂を運営し、「憲法違反の特定秘密保護法を撤廃せよ」といったデモをやったり、一斉蜂起なんてイベントをしていることがよく判りました。

 

兵庫県保険医協会と西山裕康理事長

兵庫県保険医協会の「2022こども医療費パンフ」に戻って、中身を覗いてみると、「兵庫県保険医協会理事長 西山裕康」氏による挨拶が書いてあります。西山裕康氏は明石市の開業医さんですが、雑誌「経済」の2021年8月号に、本田宏・和田秀子著『日本の医療崩壊をくい止める』という書籍の書評を書いておられます。

 

雑誌「経済」は、新日本出版社が刊行する月刊誌で、「時代の課題にいどむ科学的社会主義経済誌」と標榜されています。

 

西山裕康氏は、2021年11月20日には、「兵庫県自治体問題研究所」という団体の勉強会において、明石市議の楠本美紀氏と一緒に講師を務めていらっしゃたようです。

 

兵庫県保険医協会について、さらに検索を進めると、「憲法が輝く兵庫県政をつくる会」の「第12回定期総会 決定集」という文書にヒットしました。

http://www.hyogo-kenpo-kensei.com/_cms/wp-content/uploads/2012/06/c7520cefbd1d5cc7dcea7d788f5b5834.pdf

 

決定集には、「憲法が輝く兵庫県政をつくる会」の役員一覧が載っていますが、この中に「兵庫県保険医協会」も明記されています。役員一覧には、そうそうたる団体が掲載されていますが、いずれも兵庫県保険医協会との関係が濃密な友好団体ということなのでしょう。

 

さらにこの決定集の13ページには、西山氏の発言が載っています。併せて、紹介しておきましょう。

【発言】

保険医協会・西山裕康理事長

TPP、沖縄基地問題、消費税、アベノミクスなど、国政は民意とねじれています。共産党は、国民連合政府という思い切った旗をたてましたが、与党が「論点」の肩すかしで、消費税増税中止をうちだし、衆参同時選挙にでたときの対抗策も考えておく必要があるのではないでしょうか。

医療や社会保障で、県の権限が強くなっているだけに、県知事選挙はいっそう重要です。

 

おわりに

兵庫県保険医協会のリサーチと紹介に飽きてきたので、このあたりでやめておきます。団体にもっと知りたい方は、各自で調べてみてください。

 

で、この記事の冒頭の質問に戻ります。もう一度、問を再掲します。

 

さて問題です。

泉房穂明石市長は、2022年12月20日に、塗り分け地図を引用して、「「こども医療費の18歳までの無料化」が広がっていっている」と述べておられます。この塗り分け地図は、誰が作成したものでしょう。

 1)兵庫県庁が公式に作成した
 2)ご多忙の泉房穂市長ご自身が、わざわざご作成なさった
 3)子ども食堂に尽力されている小谷(泉)公仁子ご婦人が、夫のために作成した
 4)怪しげな民間団体が作成した
 5)権威ある善良な民間団体が作成した

 

この中に、答えはあるのでしょうか…。ともあれ、ご自身と保険医協会との関係を押し隠す泉房穂市長は、姑息で卑怯ですよね。資料を引用するなら堂々と、団体名を明記しましょうよ。

 

 

(追記)

旧知の開業医に、保険医協会について聞いてみたところ、次のような回答があったので、参考までにこっそりお伝えしますね。

「俺は、保険医協会には一切関わらないようにしているけど、保険診療における指導・監査に際して、駆け込み寺的に相談し、入会するハメになる開業医が少なからずいるよね。診療報酬の請求に際し、後ろめたいことやっている連中が、指導・監査の前になると、びびって保険医協会に相談するんだよ。彼らは「先生、大丈夫です。一緒に国家権力と闘いましょう」なんて親身になってサポートしてくれるらしいけど、彼らにクリニックの財政情報という「弱み」を全て握られて、抜け出せなくなるって言うよね。末端の会員には政治色は無いけど、上層部は、民医連とつながりも深く、某政党の歯車みたいな感じだね。」