泉房穂(前)市長の御言葉を検証する明石市民の会

泉房穂(前)市長の過去の発言を振り返り、明石や日本の将来について考えます

「戻りたい街ランキング」の信憑性を徹底検証 不動産業界の各種ランキングに見る明石市の本当の実力(その3)

先般の本ブログ記事において、明石市の広報誌で「明石のまちが選ばれています」との見出しのもと、3つのランキングで明石が「第1位」だとする図表が張り付けられていること、そして、それを泉房穂市長がご満悦でツイートしていることに言及しました。

 

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その後の記事では、①長谷工グループ、②MAJOR7(メジャーセブン)、③いい部屋ネット(大東建託)、④LIFULL HOME’S (ライフル)、⑤生活ガイド.com、⑥suumo(リクルート)、⑦ARUHI(アルヒ)、の7つの企業やブランドがいわゆる「住みたい街ランキング」を公表していることに触れ、こられの各調査について順に検討を進めています。

 

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今回はこれら7つの調査のうち5つ目「生活ガイド.com」のランキングついて取り上げます。

 

「生活ガイド.com」という情報サイト

皆さんは、「生活ガイド.com」という情報サイトをご存じでしょうか。このサイトは、株式会社ウェイブダッシュという会社が運営しており、「みんなでつくる地域応援サイト」という副題がついています。この情報サイトには、全国800あまりの市及び東京23区における住宅、子育て、医療、公園、治安、産業をはじめとする様々な領域の200項目以上の社会・経済指標や地域情報が掲載されています。

 

 

自分の住む自治体、あるいは他の自治体の、各種指標の数値や全国順位が一目で確認でき、さらに、会員登録をすると、全国の自治体を横断検索かけ、比較できる便利な機能も付いています。結構利便性が高いサイトで、実は私たちも重宝しているサイトです。

 

「生活ガイド.com」は無料で各種情報を簡単にゲットできる、ありがたい存在ですが、民間企業が単なる慈善活動として、このようなサイトを運営している訳がありません。不動産事業者などと連携してのアフィリエイトや、会員から収集した情報を企業等に販売して稼ぎを得る、というビジネス・モデルのようです。

 

 

「生活ガイド.com」といえば、ゆるいランキング

 

「生活ガイド.com」は、ランキング・マニアの間でも名の知れたサイトです。「みんなのランキング」と題して、毎月地域に関するゆるいテーマで投票が行われており、このランキング企画への投票を毎月楽しみにしている人もいることでしょう。

 

例をあげると「思わず噛んじゃう市の名前ランキング」やら「自治体のおもしろい課の名前ランキング」、「〇〇の聖地ランキング」、「難読温泉地ランキング」、「異世界に繋がりそうな場所ランキング」、などなど、エンターテイメント性に富んだユニークなランキングが並んでいます。

 

ちなみに、「思わず噛んじゃう市の名前ランキング」の1位は鹿児島県「いちき串木野市(いちきくしきのし)」、2位は岐阜県各務原市(かかみがはらし)」、3位は沖縄県豊見城市(とみぐすくし)」、4位は鹿児島県「志布志市(しぶしし)」、5位は長崎県諫早市(いさはやし)」、6位は石川県「羽咋市(はくいし)」などとなっています。

 

自治体のおもしろい課の名前ランキング」の第1位は松戸市「すぐやる課」、2位は芦屋市「お困りです課」、3位は福岡県福津市「うみがめ課」、4位は山梨県富士吉田市「富士山課」、5位は愛知県長久手市「たつせがある課」のようです。

 

また、「〇〇の聖地ランキング」では第1位は山梨県 富士吉田市「富士山信仰の聖地」、2位は長崎県松浦市「アジフライの聖地」、3位は埼玉県秩父市「アニメの聖地」、4位は福井県鯖江市「世界のめがねの聖地SABAE」、5位は同順で埼玉県蓮田市「バードウォッチングの聖地(黒浜沼)」と東京都中野区「サブカルチャーの聖地」となっています。

 

 

 

 

「みんなのランキング」の各結果の公表ページには、各自治体に投票した会員のコメントを紹介するとともに、1位となった自治体に取材し、ありがたいとか光栄だといった担当者のコメントも載せられています。一方で、総投票数や各自治体の得票数などのデータは一切掲載されておらず、これらのランキングに、なんら客観性や普遍性、正当性が無いことは言わずもがなです。

 

とは言え、「超マイナーだけど、○○でうちの市は1位だよ」といった話題で、市民が一時的に盛り上がるのは微笑ましいことですよね。ランキングの内容次第では、市の広報誌で「わが市は△△企画で全国1位に輝きました」とやんわりPRするのも、ほのぼの和みます。「みんなでつくる地域応援サイト」という「生活ガイド.com」の副題に鑑みると、ランキング企画は、ほっこりとした素晴らしい地域振興イベントであるとポジティブに評価することができます。

 

けれども、なんら客観性や普遍性、正当性が無いこの手のランキングを、あたかも権威ある格調高い賞であるかのように持ち出して、おらが市は全国一だぞ、と市長が自慢したり威張り出したりすると、話が違ってきます。政治家としてのセンスが疑われ、ドン引きする市民も少なくないことでしょう。

 

何が言いたいのか、皆さんお分かりですよね。なんら客観性や普遍性、正当性が無いランキングを持ち出して、おらが市は全国一だぞ、と自慢したり威張っている「生きる恥さらしのような間抜け市長」の顔がすぐに思い浮かぶのではないでしょうか。

 

「戻りたい街ランキング」は根拠薄弱なフィクションである

「生活ガイド.com」の運営会社は、上述のように様々なランキングものを企画し、その結果をプレスリリースしマスコミや他の情報サイトなどでも取り上げられることで、新規会員を増やし、自社の保有するデータの付加価値を高めていくという商売をやっている会社です。

 

「生活ガイド.com」が実施している各種ランキング企画の中で、最もよく知られ、注目されてきたのが、「住みたい街ランキング」だと思われます。「住みたい街ランキング」は毎年実施されているようですが、姉妹編として、「住み続けたい街ランキング」が2022年と2020年に、そして、「戻りたい街ランキング」が2021年に発表されています。

 

「戻りたい街ランキング2021」といえば、明石市が1位を獲得したことで明石市民には馴染みがある賞です。2021年11月4日の明石市長メッセージとして、泉市長殿が、「明石市長チャンネル」で嬉々として配信するとともに、ツイッターでも何度もご自慢されています。

 

また、明石市内では、市役所、天文科学館、駅前連絡通路などあちこちに、横断幕が貼られていました。


だけどもし、これらの横断幕の作成に公金が充当されているのであれば、はっきり言って公金の不適正支出であると言わざるをえません。何故ならこのランキングは、客観性や普遍性、正当性、再現性が皆無で、およそ社会調査のていをなしておらず、根拠薄弱なフィクションに過ぎないからです。

 

「戻りたい街ランキング2021」の1位受賞を素直に賞賛している明石市民は少なくないと思います。しかし、市民の中で、このランキングの評価手法や根拠について、理解している人はほとんどいないのではないでしょうか。以下において、「戻りたい街ランキング」の算出方法やその問題点について指摘します。

 

「戻りたい街ランキング」の算出方法と問題点

生活ガイド.comでは、会員登録しなくても、一般的な情報を入手することが可能です。しかし、自治体間の比較など拡張機能を活用するためには、会員登録が必要です。そして、会員登録に際しての必須入力項目を活用して、「住みたい街ランキング」「住み続けたい街ランキング」「戻りたい街ランキング」を集計する仕組みとなっています。

 

集計の仕組みを具体的に見ていきましょう。会員登録時には、「住んでいる街」「生まれ育った街」「住みたい街」の3つを入力することが求められます。

 

生活ガイド.comの会員登録画面



ある一定期間に、新規会員登録した又は一回でもログインした既存会員を集計対象とし、登録時に「住みたい街」を入力した人数を単純に積み上げてカウントした順位が「住みたい街ランキング」のようです。

 

ちなみに、生活ガイド.comの「住みたい街ランキング2022」では明石市の順位は全国で31となっています。本稿ではこのあと、「戻りたい街ランキング」を中心に検討し、「住みたい街ランキング」については深入りしませんが、「住みたい街ランキング」についても「戻りたい街ランキング」と共通の問題点を内包しています。

 

同様に、ある一定期間に、新規会員登録した又は一回でもログインした既存会員を集計対象とし、登録時に、「住んでいる街」として入力した自治体と、「住みたい街」として入力した自治体が一致する会員の人数を積み上げてカウントした順位が「住み続けたい街ランキング」のようです。

 

それに対し、「戻りたい街ランキング」の計算は、ちょっとだけ複雑です。ある一定期間に、新規会員登録した又は一回でもログインした既存会員を集計対象としている点は上の2つと共通です。運営サイトには、「生まれ育った街と住んでいる街の市区町村が違う会員の中で、住みたい街に生まれ育った街を選んでいる人の割合」が「戻りたい街ランキング」だと明記されています。

 

わかりにくいので補足説明しましょう。例えば、「A市にゆかりのある人」について考えてみると、次の3群に分けることができます。

  1. 生まれ育ちはA市で、現在もA市に居住している人。
  2. 生まれ育ちはA市で、その後転出して現在はA市以外のB市に居住している人。
  3. 現在はA市に居住しているものの、生まれ育ちはA市以外のC市の人。

 

第1群の人は、生活ガイド.comの会員登録の際に、「住んでいる街」「生まれ育った街」ともAと入力することになります。

第2群の人は、「住んでいる街」はB市、「生まれ育った街」はA市を入力します。

第3群の人は、「住んでいる街」はA市、「生まれ育った街」はC市を入力します。

 

この3つの群からなる「A市にゆかりのある人」のうち、2群目のカテゴリーの人だけに着目し、第2群の人の中で、会員登録時に「住みたい街」として故郷のA市を回答した人の割合を算出し、高い順に自治体を並べたのが、「戻りたい街ランキング」のようです。

 

「住みたい街」「生まれ育った街」の定義が不明確

さて、会員登録をしようとして、いざ「住んでいる街」「生まれ育った街」「住みたい街」の入力をしようとして悩む人は少なくないと思われます。「住んでいる街」については、現住所を答えればいいので悩みは生じません。でも、「生まれ育った街」については、親が転勤族でなくても、幼少期の居住地と学童期の居住地が異なる人は少なからず存在します。例えば、小1まで神戸市に居住し、小2から明石市に転居した人がいた場合、「生まれ育った街」として、どちらを入力するか悩ましい問題です。

 

「住みたい街」の回答は更に悩ましいです。実現可能性は別として、セレブが居住する高級住宅街に住んでみたい、南国・沖縄の離島に一度は住んでみたい、といった憧れの願望の地を答えるのか、それとも、次回引っ越しするとした場合の現実的な選択肢を回答すべきなのか、悩ましいところで、人によって「住みたい街」の捉え方は多様です。

 

きちんとした社会調査であれば、例えば「生まれ育った街」については「子どもの時に転居歴のある人に関しては、18才になるまでに最も居住期間が長かった自治体を答えてください。」、「住みたい街」については「次回引っ越しするとした場合、転居先として現実的に考慮する自治体をお答えください。転居の予定がない場合は、…」といった、選択肢についての定義や説明が記載しているはずです。

 

けれども、生活ガイド.comの会員登録画面には、「生まれ育った街」や「住みたい街」の定義や考え方についての言及が一切無いので、人によってとらえ方はバラバラです。つまり、これらの事項の回答は、厳密性が欠落しており、そのような曖昧な回答を基にしたランキングがさほど意味のあるものではないことは言うまでもないことです。

 

属性を考慮しない「住みたい街」の不毛性

「住みたい街」については、実現可能性は別として憧れの地を答えるのか、それとも、次回引っ越しするとした場合の現実的な選択肢を回答するのか、など人によって受け止めが異なることは上述しました。

 

さらに、年齢や性別、家族構成(婚姻や子どもの有無)、親や親族の居住地、職業、ライフスタイルなどによって、どこに住みたいかの判断基準が大きく異なることにも留意が必要です。

 

50代・60代の人が終の棲家として念頭におく「住みたい街」、幼児を育児する30前後の夫婦が考える「住みたい街」、結婚するつもりのない30前後のシングルが「住みたい街」、海沿いの港町に居住する漁師にとっての「住みたい街」、山間部に居住する林業従事者にとっての「住みたい街」が、それぞれ全く異なるものであることは説明するまでもありません。

 

年齢や家族構成、ライフスタイルなどの属性を調整した上での「住みたい街」の回答結果であれば意味のあるデータですが、これらの属性を一切考慮せず、回答結果を単純集計するのは全く不毛なことであり、作成されたランキングは客観性を欠いた無意味で空虚な文字の羅列に過ぎません

 

このような属性が調整されていないランキングの不毛性は、生活ガイド.comだけではなく、不動産業界各社が実施する各種自治体ランキングに共通する問題点です。ちなみに、次回紹介するリクルート「SUUMO」の「住みたい街ランキング」では、年令・性別など属性を調整したランキングが公表されており、その点では好感が持てます。また、前回取り上げた「いい部屋ネット」の「街の住みここちランキング」では、世帯年収1000万以上と600万円未満の回答者に特化したランキングも公表されており、興味深いです。

 

住みたい街ランキングのたぐいは、たとえ無意味で空虚なものであったとしても、ちょっとした娯楽性のあるエンターテイメントと割り切って楽しむ分には何ら問題はありません。しかしながら、自らの自治体がランキングで上位を獲得したことが、自身の政策の手柄であるかのごとく自慢し威張るような市長は大馬鹿であり、市長がこの手のランキングを持ち出すことは市民への背信行為だと言わざるをえません

 

有効回答数から「戻りたい街ランキング」を検証

「戻りたい街ランキング2021」の結果については、1位が兵庫県明石市、2位が福岡県福岡市、3位が香川県三豊市といった、自治体名のみが公表され、それぞれの自治体の得票数などの客観的データは一切公表されていません。そのことからも、このランキングの胡散臭さがうかがえます。とにかく情報が欠如していますが、ここでは有効回答数をもとに、大胆に投票数の推測を行ってみます。

 

公表情報において、調査対象は「2019年10月1日~2021年10月4日の間に生活ガイド.comに1度でもログインした会員25,373人」と記載されています。全国の人口1.2億人の中で、生活ガイド.comの会員は約2.5万人だということです。

 

自治体に居住する会員の数は、人口割合に比例すると仮定すると、上位の3市(明石市人口30万人、福岡市160万人、三豊市6万人)に現在居住する生活ガイド.comの会員数は、明石市62.5人、福岡市333人、三豊市12.5人と推定できます。

 

ただし「戻りたい街ランキング2021」の算定にあたっては、この人数が直接反映されるわけではありません。上述の例をもとに説明します。

 

特定のA市にゆかりのある人について考えてみると、「第1群:生まれ育ちはA市で、現在もA市に居住」「第2群:生まれ育ちはA市で、現在は他市に居住」「第3群:現在はA市に居住しているが、生まれ育ちは他市」の3群が存在します。この3つの群のうち、現在A市の人口を構成するのは、第1群と第3群の人たちですが、戻りたい街ランキングの算出にあたって分母となるのは第2群の人たちです。

 

この3つの群の人たちの構成割合については、人口の流入・流出など人口動態から緻密に算出するのは結構面倒な作業です。緻密な計算は断念し、極めてラフな大胆な仮定として、現在各市に居住する人口の半数の人が、当該市で生まれ育ち現在は他の自治体に居住する、すなわち第2群に該当すると仮定します。

 

転入が転出をやや上回る明石市と、転入が大幅超過の福岡市、転出が大幅超過の三豊市とでは、現実的には3つの群の構成割合は大きく異なりますが、あくまでも全体の規模感をイメージするための大胆な仮定ということで、割り切っています。

 

そうすると、戻りたい街ランキングの算出にあたって分母となる第2群の人数は、明石市関係では30人、福岡市関係160人、三豊市関係はせいぜい6人ということになります。

 

なお、生活ガイド.comには「母数が少ないと正確な数値が出ないため、生まれ育った街と住んでいる街の市区町村が違う会員の数が、15以下の市区町村は除外しております」と記載されています。生活ガイド.comの説明を信用すれば、人口約6万人の三豊市出身で現在は他の自治体に居住する会員が16人以上存在することになりますが、人口割合に比例するなどの仮定のもとで試算すると、上述のとおり、三豊市の当該人数はせいぜい6人に留まります。このことは、生活ガイド.comの会員の分布が、実際の日本全国の人口分布に比例せず、かなり偏りがあることを物語っています。

 

そしてここからは、さらに根拠のない仮定となりますが、明石市に生まれ育ち現在は他の自治体に居住する30人のうち、例えば18人が「住みたい街」として故郷の明石市を回答したとすれば、戻りたい街ランキングの算定上の率(以下「戻りたい率」とします)は0.6となります。同様に、福岡市に生まれ育ち現在は他の自治体に居住する160人のうち、例えば85人が「住みたい街」として故郷の福岡市を回答したとすれば、戻りたい率は0.53となります。同様に、三豊市に生まれ育ち現在は他の自治体に居住する6人のうち、例えば3が「住みたい街」として故郷の三豊市を回答したとすれば、戻りたい率は0.5となります。

 

サクラ票の存在の可能性

九州のハブ、中国や韓国との交流拠点として依然急成長中の国際都市・福岡については、出身者の郷土愛が強いことでも有名です。なので、福岡市に生まれ育ち現在は他の自治体に居住する人たちの中で、将来、福岡市に住みたいと考える人の割合が結構高いことは容易に想像がつきます。過疎が深刻化する地域においても、出身者が郷土愛を強く持っていることがあります。親族が現存し、雇用が確保されているような状況下で、Uターンを考える人が少なからず存在する過疎地域も存在します。このようなことから、三豊市の戻りたい率が比較的高い数値となることも合点がいきます。

 

良し悪しはともかくとして、キャラ立ちする市長のもとで明石市がメディアに露出する機会が増え、明石市の戻りたい率が従来と比べると幾分か高まっていると推測できます。しかし、地域特性などを冷静に考えると、明石市の戻りたい率が、福岡市や三豊市のそれを上回るのとはにわかに信じがたく、不自然だと言わざるを得ません。他の類似のランキングものにおける人気の度合いを考慮しても、生活ガイド.comにおける明石市の戻りたい率の高さは異常です。何らかの作為が作動している可能性が否定でいません

 

ここから先は、あくまでも一つの憶測で確たる証拠はないですが、虚偽のサクラ票が明石市の戻りたい率を引き上げている可能性が疑われます明石市の人口規模や調査対象者数から判断すると、せいぜい5~10票ほどサクラ票が入っただけで、明石市を第1位に引き上げることが可能なのです。

 

先ほどは、明石市に生まれ育ち現在は他の自治体に居住する30人のうち、18人が「住みたい街」として故郷の明石市を回答したと仮定し、戻りたい率は0.6と弾きました。

 

しかしながら、明石市に生まれ育ち現在は他の自治体に居住する30人のうち、「住みたい街」として故郷の明石市を回答したのは実際には12人に過ぎず、真の戻りたい率は0.4だったとします。0.4という数字は、福岡市の0.53三豊市0.5を大きく下回っています。

 

ところが、明石市の成績を引き上げたいと考える人たちが、架空の人物になりすまして会員登録を行い、「住んでいる街」は明石以外の自治体を入力、「生まれ育った街」と「住みたい街」の欄は明石市を入力したとします。このようなサクラ票が10票存在すると、明石市に生まれ育ち現在は他の自治体に居住する会員は見かけ上30+10で40人となり、その中で「住みたい街」として明石市の回答者は12+10の22人となり、戻りたい率は0.55と算出され、福岡市や三豊市を上回りトップに躍り出ます。

 

繰り返しになりますが、サクラ票の存在は、あくまでも一つの憶測であって、確たる証拠はありません。しかしながら、サクラ票の存在を疑わざるを得ないぐらい、明石市の戻りたい率は不自然な数値であることを強調しておきます。そして、生活ガイド.comの会員登録にあたっては、この手のサクラによる虚偽の登録を容易に行うことができ、ランキングの信頼性は決して高いものではないことも改めて指摘しておきます。

 

おわりに

今回は、生活ガイド.comの戻りたい街ランキングのことを長々と言及しました。

 

生活ガイド.comについて、随分とネガティブなことを書いてきたような気もしますが、決して生活ガイド.comという情報サイトのことを貶めるつもりはありません。私たちもこのサイトを重宝しており、有用性の高い情報が満載されているありがたいサイトであることに違いありません。

 

生活ガイド.comが会員を対象に集計している各種ランキングについては、何ら客観性や普遍性、正当性が無いことは言うまでもありませんが、ちょっとした娯楽性のあるエンターテイメントと割り切って楽しむ分には何ら問題はありません。

 

私たちが問題としているのは、生活ガイド.comのランキング自体ではありません。根拠薄弱で、容易に情報操作することが可能な信頼性の乏しいランキングを持ち出して、自市はナンバーワンだとはしゃぎたてて自慢し、威張っている泉房穂市長の愚かな態度や精神構造を疑問視しているのです。

 

昨日(2023年1月12日)、消費者庁はオンライン家庭教師会社に対し、「利用者満足度第1位」などとした広告表示が景品表示法が禁じる優良誤認表示に当たるとして、再発防止を命じています。「戻りたい街ランキング2021」で第1位とPRするのは、景品表示法で言うところの優良誤認表示に該当するような極めて悪質な広報と言うべきです。

 

明石市内のあちこちで、ランキング第1位を祝う横断幕が貼られていましたが、この横断幕の作成に公金が用いられていたのであれば、はっきり言って公金の不適正支出です。オンブスマン系の人たちには、公金支出問題の文脈でも、しっかり検証されることをお勧めしたいと思います。