泉房穂(前)市長の御言葉を検証する明石市民の会

泉房穂(前)市長の過去の発言を振り返り、明石や日本の将来について考えます

SUUMOのランキングで明石市は二冠という虚構 不動産業界の各種ランキングに見る明石市の本当の実力(その4)

先般の本ブログ記事において、明石市の広報誌で「明石のまちが選ばれています」との見出しのもと、3つのランキングで明石が「第1位」だとする図表が張り付けられていること、そして、それを泉房穂市長がご満悦でツイートしていることに言及しました。

 

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その後の記事では、①長谷工グループ、②MAJOR7(メジャーセブン)、③いい部屋ネット(大東建託)、④LIFULL HOME’S (ライフル)、⑤生活ガイド.com、⑥suumo(リクルート)、⑦ARUHI(アルヒ)、の7つの企業やブランドがいわゆる「住みたい街ランキング」を公表していることに触れ、こられの各調査について順に検討を進めてきました。

 

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前々回の記事で「いい部屋ネット」のランキングを紹介し、比較的規模が大きい調査で、情報開示などの点で好感が持てる調査であると指摘しました。いい部屋ネットと調査手法が類似し、規模の大きさも似通った調査を、ライバルにあたる「SUUMO」でも実施し、ランキングを公表しています。

 

リクルートグループの住宅情報「SUUMO」では、従前から、首都圏と関西とで「住みたい街ランキング」を公表してきました(2018年のみ、愛知のランキングも公表)。2021年からは別途、住民実感調査と題して「住み続けたい街」についても調査し、ランキングを公表しています。

 

今回は、SUUMOの2022年の調査における明石市の位置づけについて検証します。

 

 

SUUMOの住みたい街ランキング

まず、住みたい街ランキングのほうを見てみましょう。2022年1月に実施した調査結果が、2022年3月25日に公表されています。詳細は不明ですが、事前に42万人を対象としてスクリーニング調査を実施し、関西圏(2府4県)での本調査の有効回答数は4600人だったようです。20~49歳の男女を調査対象とし、平成27年国勢調査の構成に合わせて、都道府県×年齢×年齢ごとの人数が調整されており、統計学的に適切にサンプリングされていることが伺えます。

https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20220325_housing_01.pdf

 

こちらの調査の実施機関は、株式会社マクロミルと明記されています。いい部屋ネットの調査と同一機関が調査実務を担っているようですが、いい部屋ネットとSUUMOの調査で、調査対象者は重複するのか、それとも別個に調査対象を設定しているのか、気になるところです。

 

「あなたが、今後『住んでみたいと思う街(駅)』はどこですか」「あなたが、今後『住んでみたいと思う自治体』はどこですか」という設問に、プルダウンリストでそれぞれ上位3つを選ぶ形で回答し、1番の回答を3点、2番目を2点、3番目を1点に配点して、集計がなされています。

 

結果を見てみると、住みたい街(駅)ランキングでは明石駅が16位、住みたい自治体ランキングでは明石市が6位にランクインしています。順に引用します。

 

 


この調査では、性別、年代別、ライフステージ別(シングル男性、シングル女性、夫婦のみ世帯、夫婦+子ども世帯)の集計がなされている点が興味深いところです。

 

例えば、住みたい街(駅)ランキングにおいて明石駅は全体で16位ですが、男性で25位、女性で11位となっており、男女別にみると、女性のほうが明石の評価が高いことが判ります。

 

本稿は、このあとの「住み続けたい駅ランキング」の検証に主眼をおいています。「住みたい(住んでみたい)ランキング」については以上の紹介だけに留めますが、1点だけコメントしておきます。住みたい街として、明石市が6位と比較的高ランクとなっていますが、近畿圏でこの数年、明石市知名度が上がっていることは事実でしょう。これは、近畿圏のテレビ番組等で泉市長の露出が増大したり、明石市の派手な広報(シティーセールス)が一定の効果を収めていることを反映するものです。ともあれ、ランキングの高さが、行政サービスの質の高さや住みやすさを客観的に示すものではないことは言うまでもありません。

SUUMOの住み続けたい街ランキング(住民実感調査)

住み続けたい街ランキング(住民実感調査)のほうは、関西圏2府4県の居住者を対象に実施した、「住んでいる街に住み続けたいか」という継続居住意向に関するWEB調査に基づくもので、2段階で調査が実施されています。

https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20221007_housing_01.pdf

 

1次調査では、「お住まいの街に今後も住み続けたいですか?」という設問に対し、まったくそう思わない~とてもそう思う、の11段階で評価してもらい、11段階の選択肢に0~100点の10点刻みの点数を与えて点数化し、30人以上の回答者がいる自治体(市町と政令市の行政区)や駅を対象として平均値を計算し偏差値を算出、ランキング化がなされています。

 

2次調査(魅力項目ランキング)では、「あなたがお住まいの街では、次のような魅力があると思いますか?」という問いを設け、交通、商業施設、自治体サービス、物価、子育て、防犯・防災などの項目について、5段階で評価してもらい、自治体や駅ごとの各魅力項目の平均評価を計算。そのうち1次調査の集計対象、かつ20人以上の回答者がいる自治体や駅を対象に魅力項目ごとに偏差値化がなされています。

 

有効回答数は1次調査が14万人弱、2次調査が3.4万人弱で、1次・2次調査とも2022年3月に実施され、調査実務を担ったのは、株式会社インテージのようです。

 

調査結果を見てみましょう。「住み続けたい自治体ランキング」(関西)の総合結果は、明石市は23位に留まり、決して最高水準の評価ではありません。兵庫県内では、明石市よりも上位に、芦屋市(関西圏で1位)、西宮市(2位)、神戸市灘区(6位)、神戸市東灘区(10位)、神戸市中央区(11位)、伊丹市(15位)が位置しています。

 

なお、全体の有効回答数14万人のうち、例えば明石市の回答者は2173人、芦屋市690人、西宮市3728人などと、ほぼ人口に比例して対象者が割り付けられており、サンプリングの妥当性が十分考慮されていることがわかります。「住み続けたい自治体”ランキングについては、居住者による居住自治体の満足度に係る評価として比較的信頼性の高い調査であると見なすことが可能です。

 

しかしながら、このランキングにおける「住み続けたい“駅”ランキング」や、2次調査として行われた魅力項目ランキングについては、問題が多々あり、必ずしも信頼性が高い調査とは見なせません。

 

明石市民にとっては、市役所や泉市長が自画自賛している三冠王でも獲得したかのような図表は毎度おなじみです。この3つの第1位獲得のランキングのうち、2つがSUUMOのランキングによるものですが、必ずしも信頼性が高いとは見なせず難があります。具体的には、「人丸駅前」が第1位を獲得したとされる「(関西)住み続けたい駅ランキング」と、明石市が第1位になったとされる「【関西圏】子育てに関するサービスが充実している自治体ランキング」です。ここからは、これらのランキングのどこに難があるのかを指摘していきます。

 

恥も外聞もなく、広報あかしに掲載されていますが・・・

 

SUUMOの「住み続けたい駅ランキング」

ちょっとコマい説明になりますが、「住み続けたい駅ランキング」の調査手法について見てみましょう。関西2府4県に所在する駅のうち、夜間人口上位600駅もしくは乗降客数上位600駅と、2019年以降新しく開業した駅の合計865駅が、調査の前提です。そのうち、複数路線が乗り入れている駅を調整すると735駅がまずは調査対象となり、回答者に自宅からの最寄り駅を聞いたところ有効回答数が30未満の駅を除外し、30人以上の有効回答が得られた663駅がランキングの集計対象になっているようです。

 

そして、「お住まいの街(駅)に今後も住み続けたいですか?」という設問に対し、11段階の選択肢に0~100点の10点刻みの点数を与えて手数化し、それぞれの駅を最寄りとする回答者の評価の平均値(平均評価点)を求め、さらに集計対象663駅におけるそれぞれの駅の評価点の偏差値を算出する、という手法が採られています。住み続けたい駅ランキングの上位20の駅を引用します。

 

 

なるほど、山陽電鉄の人丸前が第1位となっています。このWEB調査の回答者のうち、最寄り駅が人丸前の人が46人で、その人たちに、今後も人丸前に住み続けたい意向を11段階で評価し、100点満点で平均を求めた結果が85.87点、全663駅の評価点をもとにした偏差値は76.58だということです。

 

全国的に見て全く無名の、関西圏でもほとんど知名度のない人丸前駅が、1位となったことに、違和感を感じる明石市民は少なくないと思います。たった46人の回答に代表性、普遍性はあるのだろうか。太寺や荷山のように自宅からの直線距離の最寄りは人丸前でも、もっぱら明石駅を利用し人丸前駅をほとんど利用しない人は、最寄り駅として「人丸前」か「明石駅」のどちらを回答しているのだろうか。このような疑問を感じる人もいることでしょう。

 

一般に統計調査は、サンプルサイズが小さいほど、偶然の要素に左右され、データの安定性が低くなります。このようなことから、有効回答数が30未満の駅を除外し、30人以上の有効回答のあった駅だけが集計されています。人丸前駅については、46人が最寄り駅だと回答しているので、30人以上の条件は満たしています。けれども、2位のさくら夙川駅の229人、3位の夙川駅の308人と比較すると、サンプルサイズは一桁小さい規模に過ぎません。

 

上位3駅の評価点は僅差ですが、回答数が200~300人の中での平均点と、回答数が50未満の規模での平均値とでは、前者のほうが統計学的な信頼性・正確性が高いことは言うまでもありません。

 

そして明石市内には、JR・山電あわせて17の駅が存在しますが、人丸前駅以外の住み続けたい評価点が気になるところです。後述のとおり、枝葉の調査にあたる「子育て環境が充実している駅ランキング」では、関西圏663駅のうち、人丸前以外にも、東二見、西新町、魚住、大久保、明石駅の計6駅が上位10位以内にランクインしていますが、人丸前以外の駅は、「住み続けたい駅ランキング」の上位80位以内には入っていません。実際の評価点は公表されておらず不明ですが、最高水準の評価ではないということです。

 

天文科学館や人丸山、大蔵海岸の最寄りの人丸前駅が、環境に恵まれ、長期居住者が多く、住民の生活満足度や継続居住意向が非常に高いことは容易に想像できます。客観的にみて、人丸前は非常にいい場所だと思います。だけども、様々な属性の人々によって構成された明石市民、さらには人丸前駅を最寄り駅とする市民の中で、たまたまSUUMOの「住み続けたい駅ランキング」に回答した46人が、平均的な市民属性とは異なった傾向の人に偏っていた可能性が否定しきれません。

 

おそらく、この調査で明石駅を最寄りとする人は数百人いたと思われますが、サンプルサイズを考慮すると、未公表ではあるものの明石駅の評価点は信用に足りると考えられます。しかしながら、回答者が46人というごく少人数の人丸駅については、許容誤差や信頼レベルを考慮すると、第1位だと言えども、残念ながら統計学的には全く無意味な自己満足に過ぎないのです。

 

「子育てに関するサービスが充実している自治体ランキング」の信憑性

住み続けたい街ランキング(住民実感調査)の2次調査(魅力項目ランキング)では、「あなたがお住まいの街では、次のような魅力があると思いますか?」という問いを設け、交通、商業施設、自治体サービス、物価、子育て、防犯・防災など10のカテゴリーの計40の項目について、5段階で回答を求め、点数化されています。

 

例えば、「今後、街が発展しそう」という項目において、回答者の点数が高かった駅を順位化したのが「今後、街が発展しそう駅ランキング」で、「周囲の目を気にせず自由な生活ができる」という項目において、回答者の点数が高かった自治体(市区町)を序列化したのが「周囲の目を気にせず自由な生活ができる 自治体ランキング」のようです。

 

SUUMOのプレスリリースでは、この40項目全てのランキングが公表されている訳では無く、40項目のうち、自治体については12項目、駅については16項目のトップ10のランキングが公表されているに過ぎません。調査主体において、これら公表項目をどのように選定したのか不明ですし、また、各自治体・駅の具体的な評価点は示されておらず、偏差値だけが記載されているのは不親切であり、この調査の信頼性を引き下げていると言わざるを得ません。

 

さて、明石市が第1位になったとされる「子育てに関するサービスが充実している自治体ランキング」は、自身が居住する自治体について「子育てに関するサービスが充実している」という設問への5段階評価での回答の点数を序列化したものです。そして、明石市が、関西2府4県の市区町の中で、最高得点だったようです。SUUMOのプレスリリース資料に掲載されているTOP10のリストを引用します。

 

 

プレスリリース資料の次ページには、自身の最寄り駅について「子育て環境が充実している」という設問への回答の点数を序列化した「子育て環境が充実している駅ランキング」のTOP10リストが載っています。こちらも併せて引用します。明石市内の駅は第1位ではありませんが、驚くべきことに、10位以内に明石市内の駅が6駅もランクインしています。

 

 

「子育てに関するサービスが充実している自治体ランキング」で明石市が第1位であること、「子育て環境が充実している駅ランキング」で明石市内の駅が10位以内に6駅ランクインしていることについて、明石市子育て支援のレベルの高さが反映された結果だと考える素直な人がいるかも知れませんね。けれども、事実は全く異なるのです。これらのランキングは、決して明石市子育て支援のレベルの高さを示すものではありません。

 

というのも、子育てに関するサービスが充実、あるいは子育て環境が充実している、といっても、客観的な指標でもって自治体間の比較がされたものではなく、あくまでも地域住民が、主観的に充実していると感じている割合が高いということを意味するに過ぎないのです。

 

明石市民の多くが、明石市では子育てサービスや子育て環境が充実していると、主観的に感じているのは事実としても、そのことは、客観的にみて明石市子育て支援の水準が高いことを意味するものではないのです

 

行政による子育て支援サービスについては、様々な領域の施策を総合的に実施する必要がありますが、明石市のレベルが高いとされているのは、「5つの無料化」など市長が自慢する特定の領域だけであり、明石市のトータルな子育て支援のレベルは決して最高水準ではないのです。先日の記事でも取り上げましたが、日経クロスウーマンと日本経済新聞社の「共働き子育てしやすい街ランキング2022」や東洋経済新報社の「住みよさランキング2022」【子育て編】において明石市の成績がかんばしくないことは、明石市のトータルな子育て支援のレベルが実は大したことがないこと裏付けています。

 

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客観的には大したことがないにも関わらず、明石市では子育てサービスや子育て環境が充実していると、市民の多くが自己認識しているのは、市役所や市長自身が、「明石市子育て支援は全国トップ」だと日頃から繰り返し繰り返し、しつこく主張しており、アナウンスメント効果によって、市民がそのようにすり込まれていることの表れに過ぎないのです。

 

「子育てに関するサービスが充実している自治体ランキング」第1位の明石市の偏差値は、94.59となっていますが、この偏差値は明らかに異常です。平均点が10点、ほとんどの人の得点が20点以下の超難問テストで、一人だけインチキでもして100点満点を取らない限り、94.59なんて値になりません。関西2府4県の600以上の駅の中で、「子育て環境が充実している駅」の上位10位以内に特定の市に立地する駅が6駅もランクインしていることも、尋常なことではなく、特異的な要因を考えざるを得ません。

 

「嘘も百回言えば真実となる」という言葉がありますが、これらの異様なランキング結果は、市長によるマインドコトロールによって、「明石市子育て支援は全国トップ」だと市民が信じ込まされている度合いが極めて深刻であることを如実に物語るものと言えるでしょう。

 

なお、「子育てに関するサービスが充実している自治体ランキング」については、SUUMOの各種調査の中で、末節の先っちょの枝葉の副次的な調査項目に過ぎないものです。いずにれにしても、このような末節の調査項目の結果を、あたかも格調高い重みのある調査結果であるかのごとく泉房穂市長が派手に自画自賛するのは、恥も外聞も無い愚行ここに極まれりです。

 

虚飾に満ちた情報、嘘で塗り固められた「明石市子育て支援は全国トップ」神話

各世帯に配布される「市政ガイド」の表紙には、「明石が選ばれる理由」と称して、泉市長が好む「好循環」の図が大きく掲げれています。そして、次ページには、「数字でみる「明石の今」」と称して、各種ランキングで好成績であることを謳うともに、「こどもを核としたまちづくり」図示して派手にPRしています。

 

SUUMOの「住み続けたい街ランキング(住民実感調査)」のWEB調査が行われたのは2022年3月ですが、この時期には、市役所や天文科学館、駅前連絡通路など市内のあちこちで、「祝 戻りたい街ランキング2021 明石市第1位」と記載された横断幕が大きく掲げられていました。

 

日々日常的に、このような見栄えのいい情報にさらされていると、従順で素直な多くの明石市民が、「明石市子育て支援は全国トップで素晴らしい」と洗脳されてしまうのは無理からぬことです。しかし、「明石市子育て支援は全国トップ」というのは、泉市長の妄想・幻想でしかありません。

 

明石市の好循環とする主張が嘘偽りであることは、本ブログでこれまで紹介してきました。市長が引用する各種ランキングについても、ランキングものが乱立する中で明石市が下位に留まる調査結果はすべからく隠蔽し、明石市が高位になっているものだけを恣意的に取り上げたマユツバであることも説明してきました。泉市長が大はしゃぎし大きな横断幕でPRしてきた生活ガイド.comの「戻りたい街ランキング2021」についても、全く信憑性のない空疎なエンタメ情報に過ぎないことも前回の記事で詳説しました。これら欺瞞的な広報は市民への背信行為というべきものです。

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ともあれ虚飾に満ちた情報、嘘で塗り固められた「明石市子育て支援は全国トップ」神話に明石市民が騙され続けてきた帰結が、「子育てに関するサービスが充実している自治体ランキング」での94.59という異常な明石市の偏差値であり、「子育て環境が充実している駅」の上位10位以内に明石市内の駅が6駅を占めるという尋常でない偏向なのです。

おわりに

今回は、SUUMOのランキングのことを長々と言及しました。

 

SUUMOのランキングについて、随分とネガティブなことを書いてきたような気もしますが、決してSUUMOのランキング調査のことを貶めるつもりは毛頭ありません。

 

多々難点はあるものの、SUUMOのランキング調査については、この手のランキングものの中では調査手法等についての情報開示の度合いが比較的高い方ですし、項目によっては年令・性別等の属性別のランキングが提示されている点などは好感が持てます。

 

2021年から実施されているSUUMOの「住み続けたい街ランキング(住民実感調査)」については、「ベイジアンネットワークによる構造解析」の試みなど、魅力項目ランキングの視点もそれなりに興味深いものです。ただし、調査結果の開示度が低い点は残念ですし、客観的指標に基づく評価ではなく、あくまでも回答者の主観に基づくものであり、信頼性については限界があります。

 

本項で解説したとおり、SUUMOのWEB調査で、自身の居住する街についての主観的な自己認識として、回答者が「子育てに関するサービスが充実している」「子育て環境が充実している」という項目で高い評価をくだしているとしても、当該自治体の子育て支援サービスのレベルが客観的に高水準であることを意味するのではなく、むしろ、市長や市役所による虚偽情報によって、市民がそのように信じ込まされている割合の高さ・深刻性を示すものであると解釈するのが妥当なのです。

 

また、「お住まいの街(駅)に今後も住み続けたいですか?」という設問について、人丸前駅が第1位という結果になっていますが、回答者(サンプルサイズ)は46人で、ごく少人数に留まっており、統計学的には信頼性に限界があります。

 

このような問題点を理解した上で、SUUMOのランキングを時事的な話題の1つと捉えて眺め楽しむ分には、何ら問題はありません。しかし、「住み続けたい駅ランキング」で「人丸駅前」が第1位を獲得しただの、「子育てに関するサービスが充実している自治体ランキング」で「明石市が」が第1位になっただのと、行政や市長が派手にPRし情報操作するのは、これまで嘘偽りの情報に晒されてきた市民をさらに誤導に追いやる悪質な背信行為に他なりません。