泉房穂(前)市長の御言葉を検証する明石市民の会

泉房穂(前)市長の過去の発言を振り返り、明石や日本の将来について考えます

無駄な土木予算を削減したという、威勢のいい市長発言は嘘か真か?

泉房穂市長は、日頃から、SNSでのつぶやきや、雑誌等のインタビューにおいて、明石市では公共事業の利権にメスを入れ、無駄な土木費をカットして予算を捻出し、子ども予算に回したんだ、といった趣旨の主張を繰り返しておられます。

 

つい先日も、民放の番組に出演して、いつもの持論に熱弁を振るっておられたようです。泉市長の敬虔なサポーターであられる「桃太郎+ @momotro018」さんが、泉市長の出演シーンの映像と、文字起こしされた市長発言を律儀にも12月13日にツイートされておられます。

 

泉房穂 明石市

『日本は海外ヨーロッパと比べると無茶苦茶ビックリする予算配分。子ども予算は半分、公共事業は倍。こんな国ないですよ、まさに利権そのものですから。 明石市は土木予算3割削減したが適正化しただけ、インフラ整備は賞をもらうぐらいちゃんと出来てます』

この発言の根拠として番組では、2010年度と2021年度の市の一般会計歳出予算を比較したフリップが準備され放映されていたようです。

 

市長発言と、このフリップの内容については、いろいろと突っ込みどころ満載ですが、今回は、市長が言うところの「土木予算削減」の真相を検証します。

 

といいつつ、市の財務書類を閲覧してつぶさに検討するまでもなく、市議会においてすでに議論されており、議事録を読むと答えが明確に書いてあります。

 

市の土木予算の推移について、市の都市局長は要旨次のような答弁をされています。

 

  • 平成28年度から下水道事業の企業会計への移行に伴い、例年30億円近い一般会計から下水道事業への繰出金が、「土木費」から「諸支出金」へと科目が変更になった。これに伴い見かけ上、土木予算は30億円減ったが、予算上の区分が変更になっただけで、下水のインフラ整備費が実際に大きく減額された訳ではない
  • そもそも投資的経費には波があるもので、この10年の間に巨額の費用を伴う事業明石駅前南の再開発、山陽電車の立体交差、西明石の土地区画整備など)が集中的に実施されてきた。現在は、これらの大規模事業がほぼ終了し、土木費が一息ついている状態である。
  • ①や②の要素を考慮すると、この10年間で実際に土木費が大きく減額されたという訳ではない
  • 高度成長期に整備した道路・公園・下水道など都市基盤の老朽化が進行しており、いま現在、土木費は一息ついて低い額に抑えられているが、今後メンテナンスの所要額が急増し、市民生活の維持のためには土木費のある程度の増額が不可避である。

 

※「土木費」から「諸支出金」への科目変更と言われても意味が分かりづらいかも知れませんが、次のような  例をイメージしてください。これまで、夫が月6000円、妻が月4000円の携帯電話料金を、夫がまとめて1万円払っていた家族があるとします。ある月から、夫婦で支払いを別々にして、夫は自分の6000円分だけ支払うようになったとします。そうすると見かけ上、携帯電話の負担が1万円から6000円に軽減されたように見えますが、妻が別途支払っているので、家族トータルの負担は全く変化していない、ということです。

 

利権に切り込んで土木予算を削減し、恒久的に子ども予算に回す財源を確保した、というのが泉市長のご主張ですが、都市局長が議会で答弁されたことは、泉市長殿の見解とは丸っきし食い違ってますね。

 

局長は虚偽答弁をされたのでしょうかね。局長が議会で虚偽答弁をしたのであれば懲戒免職ものです。これについては、本来的には「土木利権」の切り込み隊長である質問者の辻本達也議員が、都市局長の発言を是認した上で、「土木費を削ってという市長の発信の仕方」に「問題がある」と市長をすぱっと断罪されています。

 

イデオロギー的には辻本議員とは真逆の千住啓介議員も、土木費を巡る市長の発言を取り上げ、土木費が極端に減っているとすれば問題だと指摘していますが、これに対し都市局長は極端に減っている事実はないと否定しています。

 

議会の別の機会には、土木費と一部概念がオーバラップする「投資的経費」の決算額について竹内きよ子議員が質問しており、財務部長が「ここ10年の推移を見ますと、・・・決算額は80億円から100億円とほぼ同水準であり、大きく減少している状況ではない」との認識を答弁しています。

 

どうやら、利権に切り込んで無駄な土木予算を削減し、恒久的に子ども予算に回す財源を確保した、という泉市長のご持論は嘘っぱちだと結論づけざるを得ませんね。

 

(参考1)

 令和4年6月24日建設企業常任委員会での辻本達也議員の質問と、都市局長の答弁

令和4年6月24日(金)

明石市議会 建設企業常任委員会記録

                         

○辻本達也委員  では1つだけ。情報化社会でいろいろと行政の取組なんかもかなり広く発信をされていまして、特に最近は、先ほどもお話がありましたけど、市長がツイッターでいろいろと情報発信をされているということで、その情報が詳細まで語られておればそうでもないかもしれないんですが、一部分だけが伝わると、そこから誤解が生じたり、極解されたりする部分もあったりしてというところがあります。ですから、正確に伝えておかなあかん部分が多々あるんやろなというふうに思うんです。

 本会議でもあったんですけど、土木費です。土木費がかつてよりも大分、減って半減しているというようなお話がございまして、数字的に見ると確かにそうなんやなというところは、これはもう明らかではありますけれども、これもツイッター上でいろいろな方が市が出している資料でありましたり、国が出している資料でありましたり、そういうのを見てグラフ化されたりして非常に分かりやすくまとめていただいている方もいらっしゃるんですが、ただ、この減っている原因が、何かしなければならないことを削って減らしているということなのか、それとも何か具体的に減る要因があって減っているのかというところ、これが重要なところかなと。正確に捉えて市民の皆さんに知っていただくという点では、重要なポイントかなあというふうに思うんですね。

 ここ10年で見てみますと、例えば、駅前の再開発事業ですね。これは非常に大きな予算を伴うものでありましたし、山手環状線も西のほう、西脇、金ケ崎のエリアの工事もありましたし、八木松陰線ですね、これも旧浜国からの部分の開通というのもありまして、これは山陽電車との立体交差で非常に時間をかけて、費用もかかってという工事だったというふうに思います。山陽電車でいうと、三連連立事業というのがありましたし、この間、非常に大きな事業が明石市の取組の中で多かったという部分があるんじゃないかなというふうに思いますね。

 それでいいますと、ここ10年の間にかなり大きな費用を伴う事業が集中していたんだけれども、ここ最近は、それが一旦、一息ついたといいますか、全部、終了したということで、予算としてぐんと減っていると、そういう理解でいいんじゃないかなというふうに私は思うんですけど、いかがですか。

○松井久美子委員長  東都市局長。

○東都市局長  都市局長でございます。

 ただいまの辻本委員の御指摘について、お答え申し上げます。

 本会議でも申し上げましたが、まず1つ、土木費が大きく減った要因の1つは、下水道事業が企業会計になったときに、それまで下水道事業への一般会計からの繰出金というものが土木費の中で計上されておったものが、諸支出金という費目に変わりましたので、それで例年、30億円近い繰出金がまず、どんと大きく落ちております

 もう1つは、今、委員が御指摘頂いたように、やはり駅前の再開発ですとか、そういった大型事業がひと段落いたしました。例えば、大きな事業費を伴うものとしては、大久保駅前の区画整理事業なんかでも当然、進めておりますけども、その中でも道路整備であったりとか大きなところは、大分、ひと段落をして、あとは少し残っているところを今、何とか進めているというようなところでございます。

 土木費といいますか、投資的経費というのはどうしても波がありまして、大型事業をやるときについてはかなり大きく出て、それが終わると少し落ち着いてというのを繰り返すような形になっておりますので、その辺りにつきましては、財政部局等ともしっかり相談をしながら、正しい情報を発信できるように努めてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

○松井久美子委員長  辻本委員。

○辻本達也委員  子育ての予算がどこから来たんやろうというように、疑問を持たれるのはもう当然のことだと思うので、そのときに、土木費を削ってという市長の発信の仕方にも若干、問題があるのかなというふうにも思いますけれども。だから、やらなければならないことを削ってというような、そういうふうに取られかねないような発信の仕方をされているところがあったのが、1つ原因かなとは思うんです。ただ、正しく見ますと、先ほど、局長が御説明頂きましたように、会計上の問題といいますか、費目が変わったというところも1つ大きいですし、先ほど申し上げたいろいろな多額の予算を伴う事業がひと段落ついたというところも1つ要因としてあると。

 ただ、今日の所管事務報告で御説明頂きましたように、今後、山手環状線の工事が入ってきたり、そのほか予定しております水道、下水、いろいろな事業があると思いますから、それでいいますと、これは黙っていても土木費というのは、今後また膨らんでくる可能性があるん違うかなというふうに思いますけれども、その辺いかがですか。

○松井久美子委員長  東都市局長。

○東都市局長  都市局長でございます。

 重ねての御質問でございます。確かにおっしゃるように、やはり明石市の都市基盤というものは、ほとんどが高度成長期に整備をしたものがかなり、道路であっても、公園であっても、下水道であっても、そういうものが非常にたくさんありまして、そういったものの老朽化というのは今までも御指摘がありましたように、大変進んでおります。ですから、それのメンテナンスにつきましては、やはりどうしてもどんどん増えていくような状況になります。

 その中で、さらに足りないところにつきましては、当然、当時のように、いけいけどんどんというわけには参りませんけども、優先順位を決めながらしっかり対応して進めていきたいなというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

(参考2)

 令和4年6月17日本会議における千住啓介議員の質問と、都市局長の答弁

令和4年6月17日(金曜日)

明石市議会本会議

 

○議員(千住啓介)登壇  自民党真誠会の千住啓介です。発言通告に従い質問いたします。

(中略)

 次に、2項目めの市民の安心安全をつくる公共インフラ事業について質問いたします。

 市長はよく各種メディアの取材において、子供にお金をかければ地域経済が回る、好循環が生まれる。では、その財源はという問いに、無駄な公共工事予算を削ればよいという趣旨の発言をよくされております。現に、明石市は土木費が異様に削減されてまいりました。市長就任時の平成23年度決算の土木費は110億円で、歳出構成比率は11.2%に対して、令和2年度決算の土木費は59億円であり、構成比は4.1%であります。平成28年度に下水道会計が企業会計に移行し、29億円ほど外れたとしても、まだ22億円ほど減少している現状があります。泉市政が誕生してから約100億円以上の土木費が削減しているということになります。100億円あれば、様々な明石市の課題が解決されたようにも思われるわけですが、明石市がどれだけ低いかを兵庫県下の中核市等と比較したいと思います。

 令和2年度決算でいきます。令和2年度の決算の土木費の歳出構成比率であります。明石市4.1%に対して、尼崎市は7.8%、西宮市6.4%、姫路市13.6%、加古川市は7.23%であります。こうして比較しても少ないのが分かります。ちなみに令和4年度予算の民生費の割合は49.2%です。よく市長は無駄な公共工事を削るべきと言います。公共工事イコール無駄であるようなイメージを与えかねないのですが、今まで本当に無駄な公共事業はあったのでしょうか。削られた公共工事はむしろ、市民の安心安全をつくるための事業であり、土木費削減は必要な事業を後回しにし、子供たちにつけを回しているだけとも言えるのではないでしょうか。

(中略)

 そこで質問いたします。明石市予算全体に占める土木費の構成比率及び予算額の妥当性について。泉市長就任以降、土木費が極端に減っている。平成28年度から下水道会計が企業会計に移行し、予算規模が縮小されたことを鑑みても、予算のバランスが欠けているように感じますが、市の見解を問います。

 

○都市局長(東 俊夫)登壇  都市局長でございます。

(中略)

 なお、議員御指摘の予算に占める土木費の額が大きく減ったことにつきましては、御指摘のように平成28年度から下水道事業の企業会計の移行に伴い、例年30億円近くあった一般会計から下水道事業への繰出金が、土木費から諸支出金へと科目が変わったことに加えまして、明石駅前南地区市街地再開発事業山陽電鉄連続立体交差事業、西明石土地区画整理事業などの大型事業が完了したことなどが主な要因でございます。いずれにいたしましても、世の中は社会の成熟化等の社会経済状況の変化に伴い、戦後の高度成長期に代表される「ものを造る時代」から「ものをまもり、つかう時代」、「量から質の時代」に変わってきております。下水道施設や道路といった公共インフラも老朽化対策が今や喫緊の課題となってきており、その更新や維持管理には今後、多額の費用が見込まれます。安全で快適な市民生活を将来にわたって守っていくためにも、限られた人や金を効率的に使っていくためにも、定期的な点検と年次的、計画的な修繕、保全工事を行う予防保全という考え方に基づきまして、予算もしっかり確保しながら取り組んでまいりたいと考えております。また、障害の有無にかかわらず、子供から高齢者まで全ての市民が安全で快適に公共インフラを利用できるよう、令和2年に策定いたしました明石市ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画に沿って、公共交通機関、また、公園等の公共施設のバリアフリー化及び通学路の安全対策にも引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 

(参考3)

 令和4年9月13日本会議における竹内きよ子議員の質問と、財務部長の答弁

令和4年9月13日(火曜日)

明石市議会本会議

 

○議員(竹内きよ子)登壇  皆様、おはようございます。明石かがやきネットの幹事長の竹内きよ子でございます。発言通告に従いまして、3項目質問いたします。

(中略)

 2点目は、投資的経費の減少についてお聞きします。投資的経費は、23億4,699万3,000円減少し、前年度比22.3%の減になっています。今後、改修が見込まれる学校校舎、市民会館、道路橋脚などの老朽化した施設について、長寿命化計画により改修・補修を先送りしているのではないかと危惧されています。市の見解を問います。

 

○財務部長(久保井順二)登壇  おはようございます。財務部長でございます。

 私からは、御質問の1項目め、令和3年度明石市一般会計決算についての質問に順次お答えいたします。

(中略)

 次に、2点目の投資的経費の減少についてでございますが、令和3年度の投資的経費は、昨年度比23億円減の約82億円となっております。しかしながら、投資的経費の決算額のここ10年の推移を見ますと、明石駅前再開発や保育所整備、JT跡地の土地購入の影響により大きく膨らんだ年度はあるものの、これらの要素を除きますと、決算額は80億円から100億円とほぼ同水準であり、大きく減少している状況ではないと認識しております。

 一方で、今後につきましては、新庁舎建て替えや新ごみ処理施設の整備などに加え、小中学校や文化施設等の大規模改修や建て替え、上下水道管路や道路といったインフラ施設の老朽化対策につきましても、それぞれの維持修繕計画に沿った計画的な投資が必要となってまいります。引き続き、持続可能で安全・安心な生活基盤を整えるため、必要なハード整備につきましても、しっかりと予算措置を行ってまいりたいと考えております。