泉房穂(前)市長の御言葉を検証する明石市民の会

泉房穂(前)市長の過去の発言を振り返り、明石や日本の将来について考えます

コロナ禍での水道・下水道の基本料金減免を巡る明石市政の混乱とその内幕

 

さて問題です。明石市では令和2年度に、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、水道料金が6ヶ月間減免されました。この減免措置に伴い、水道事業は8億円弱の減収となりましたが、その分の費用はどのような形で捻出されたでしょうか(費用は誰が払ったのでしょうか)?

(1):泉房穂市長のポケットマネー(個人資産)で減収分を填補した
(2):明石市の市税(市民があまねく負担)で対応(減収分を填補)した
(3):国の税金(国民があまねく負担)で対応した
(4):明石市の市債(市民が将来負担する借金)で対応した
(5):将来の水道管更新工事などに備えて貯蓄しておくべき資金を先食いした
(6):その他

 

コロナ禍初期段階である令和2年度には、深刻な社会パニックの様相を呈する中で、行政において様々な支援策が講じられていきました。コロナ禍での行政による支援策の中には、国民の関心が高く知名度が高かったものがある一方で、注目度が低くてあまり目立たず、支援策が講じられた事実が当時でさえあまり話題にならず、人々の記憶に全く残っていないような施策もあるように思われます。

 

後者の「支援策が講じられた事実が当時でさえあまり話題にならず、人々の記憶に全く残っていないような施策」の一例として、明石市では、「水道料金の6ヶ月減免措置」があげられるでしょう。

 

新型コロナウイルス感染症が、広く市民に経済的な影響をもたらしている状況に鑑み、全ての水道使用者に対する普遍主義的対策として、一律に基本料金の6ヶ月分の免除が行われました。一般家庭の場合だと、明石市の1期2ヶ月分の基本料金は1914円で、3期6ヶ月分なので計5742円が減免されたことになります。

 

口座引き落としの人は、そのメリットを直接実感しづらいかも知れませんが、1世帯あたり6000円弱の水道料金減免は、家計にとっての経済効果は、市役所から1世帯あたり6000円弱のお金を受け取ったに等しいものだったのです。

 

市内の水道使用者があまねく水道料金の減免措置の恩恵を受けたことになりますが、気をつけないといけないのは、そのための費用は打ち出の小槌で湧き出たものではありません。この減免措置により、水道事業は当初の想定では8.8億円、決算ベースでは7.72億円の減収になりました。その分は誰かが負担しないといけないのです。では、誰が減収分の補填(穴埋め)をしたのでしょうか。

 

本記事の冒頭では、6つの選択肢を設け、読者の皆さんに質問しました。本ブログの直近の記事では、類似の設問を設けてきましたが、いずれも費用負担者は「(3):国の税金(国民があまねく負担)」が正答でしたね。したがって、常連読者の皆さんは、きっと今回も「(3):国の税金(国民があまねく負担)で対応した」が正答ではないか、このようにお考えかも知れませんね。しかし、今回ばかりは外れで、正解は「(5):将来の水道管更新工事などに備えて貯蓄しておくべき資金を先食いした」なのです。

 

厳密に言えば、7.72億円の減収のうち、2.86億円は、兵庫県企業庁による県営水道の料金免除という財政支援によりカバーされました。https://web.pref.hyogo.lg.jp/governor/documents/g_kaiken200501_08.pdf

従って、市の水道事業にとって、実質的な減収は4.86億円となります。本稿では、県営水道による財政支援のことは論点とせず、4.86億円(5億円弱)の実質的な減収に着目して議論を進めます。

 

「将来の水道管更新工事などに備えて貯蓄しておくべき資金を先食いした」ことの何が問題なのか、いまひとつピンとこない読者の方も多いかも知れませんね。ところが本件は実のところ、明石市政を揺るがした重大問題であり、泉市長と市議会の関係が決定的に悪化する要因の1つだったのです。

 

水道及び下水道の基本料金減免を巡る議論の経緯

この問題の経緯を時系列で追っていきましょう。

 

(1)令和2年4月下旬

令和2年4月下旬といえば、新型コロナの第1波が到来した時期でした。後で振り返ってみると、第1波の患者数や死亡者数は第3波以降と比べるとはるかに規模が小さいものでしたが、日本社会にとっては未曾有の「疫病」の発生に人々は恐怖におののき、国全体で商店街から明かりが消えました。

 

この時期、国や各自治体では、感染症対策に加え、感染症による経済的影響を踏まえた支援策の検討に追われていました。明石市でも各部局で、それぞれの所掌における支援策の企画立案が進められていました。水道局と都市局下水道総務課においては、水道料金及び下水道使用料の6ヶ月分の減免措置についての検討がなされていました。

 

(2)令和2年5月1日

泉房穂市長による記者会見が行われ、「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた水道料金および下水道使用料の基本料金の減免」について検討していることが、対外的に公表されました。

 

水道料金の減免の内容については上述しましたが、下水道使用料についても同様に、一律に基本料金の6ヶ月分の免除を行う方針が発表されたのです。一般家庭の場合だと、明石市の1期2ヶ月分の基本料金は1755円で、3期6ヶ月分なので計5265円の減免が予定され、減額総額7.2億円と見込まれていました。

 

記者からは、減免に伴う原資はどこから出てくるのか、という鋭い質問があり、泉市長は、「原資につきましては、水道につきましては若干の余剰金があります。最終的には場合によっては市からの基金繰出も含めて調整したいと思います」と回答していました。

 

(3)令和2年5月7日

この日の開会された市議会定例会において、6日前に公表した「下水道使用料の基本料金の減免」の方針を撤回しました。あまりにもみっともない朝令暮改の対応ですが、方針撤回の理由として、全て市の持ち出しになり財政影響が甚大であること、姫路市加古川市は水道の減免に留まっており、下水の減免は予定されていないので横並びを意識したものであると答弁しています。

 

おっかしいですよね。泉市長殿、日頃は、他の自治体がやってないことを明石が率先してやるんだ、明石から社会を変えるんだ、などと威勢のいいことを言っておきながら、姫路市加古川市がやらないから、明石も施策をやらない、というのは自己矛盾も甚だしく論理性を欠き、泉房穂なる人物のデタラメさがこういうところでも露呈しています。

 

ともあれ、泉市長は、「市民や市議会議員の皆さんの声を踏まえながら、今回、下水道で財源として使うのを撤回した7億2000万円につきましては、しっかりとさらなる施策に活用していきたいと考えております」「今回は使わずに次に使う」という発言で答弁を締めくくっています。

 

(4)令和2年5月15日

コロナ禍において、各自治体が地方の実情に応じ、きめ細やかに支援策を講じられるよう、令和2年4月に成立した国の補正予算により新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」(以下、「臨時交付金」)が設けられました。臨時交付金は、自由度が高く、新型コロナの影響を受けた市民や事業者等を支援するという名目であれば、いかなる事業にも活用できる補助金です。とは言え、国から明示的な解釈が示されないと、自治体が活用を躊躇することもあります。

 

自治体から国に対し、水道料金等の減免措置を講じる場合に、そのための財源として臨時交付金を活用できるかどうかの照会が相次ぎました。そこで、5月15日には内閣府は、公営企業が水道料金等の減免措置を講じる場合に、財源として臨時交付金を活用することが可能である旨の解釈を明示しました。

 

水道料金の減免措置を巡る二転三転

上述のとおり内閣府が、自治体が水道料金等の減免措置を講じる場合には、臨時交付金を活用することができる旨の解釈を示したことから、自治体によっては、水道料金等の減免措置の財源として、臨時交付金を活用するべく予算編成が行われていきました。

 

明石市においても、令和2年度に交付された臨時交付金40.5億円のうち、4.9億円を水道料金の減免措置の穴埋めに活用するという計画書を内閣府に提出していました。

 

このあたりの事情を、令和3年3月10日に開催された市議会の建設企業常任委員会において、宮脇副市長は、次のように答弁しています。

 

副市長の宮脇でございます。基本料の減免に係る一般会計からの補填についての御質問にお答えいたします。

 

そもそも、この水道料金の減免につきましては、コロナ対策の一環といたしまして、ほとんど全ての世帯の方が対象になることから、生活支援策の大きな1つとして、他市の状況も踏まえながら実施をさせていただいたものでございます。これについては、昨年5月、本委員会において御説明申し上げ、その時点では、財源については当面は水道会計の内部留保資金を充てることとさせていただいて、今後、将来的には一般会計からの補填について検討させていただく旨、御説明させていただいたところでございます。なおその後、国からこの基本料の減免分についても、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の対象になるという旨の通知もございまして、その後、この交付金の対象となるためには、対象事業を実施計画として国へ申請しておく必要が準備段階として必要でございましたんで、当然、市としましても、この水道料の減免分についても実施計画に上げて申請をさせていただいております

 

県下各市の状況を見ますと、阪神や播磨で主な15市ほどを調べますと、一般会計の補填がないものが7市、補填しているものが7市、未定が1市という状況でございまして、一般会計の補填のある7市のうち、一部または全部をこの交付金を財源として補填している状況でございます。

 

このように、水道料金の6ヶ月間の減免措置により減収となった分の穴埋めとして、国からの補助金である臨時交付金を当てることを令和3年3月に宮脇市長は議会の場で公言していました。ですので、市議たちは、水道料金の減免措置で収入減になった部分は、国からの補助金で補填されるものと聞いて納得し賛同していました。

 

ところが、令和2年度のの決算書が令和3年の10月議会で公表されるや、市議会は大紛糾しました。市議たちが立腹するのも無理はありません。その半年前には、水道料金の減免による減収分は国からの補助金で穴埋めすると副市長は明言していたのに、いつの間にやら、その約束が反故にされたのですから。

 

令和2年度決算において、水道事業の利益の減少額は、基本料金免除総額7億7229万円から、県営水道料金を免除された2億8631万円を引いた4億8598万円でした。結局、5億円弱の損失分は臨時交付金で補填されることなく、穴が空いたまま放置されてしまったのです。

 

水道料金の減免に伴う減収分を補填しなかったことの問題点

水道料金の減免に伴う5億円弱の損失分が臨時交付金で補填されなかったことの何が問題なのかを、さらに説明します。

 

明石市の水道事業は、今大きな変革期に直面しており、今後、財政負担の増大が不可避な状態となっています。理由の一つが、老朽化した水道管の更新時期に差し掛かっているからです。本ブログの以前の記事で、下水道管の耐久年数は50年であり、今後、老朽管の更新が必要になってくることを説明しましたが、水道管については下水道管よりも10年間短い40年が耐久年数とされています。このため、大規模な改修工事に備え、水道事業会計では、コツコツと貯金(内部留保)を貯めてきたのです。

akashi-shimin.hatenablog.jp

 

 

さらに明石市では、近い将来、自前の浄水処理を中止して、県営水道からの受水に全面切り替えの予定ですが、これまで以上に水道事業はコスト高になることが不可避な状態です。このため、独立採算で運営されている水道事業では経営改善が急務となっており、5億円近い減収を放置しておく財政的余裕など全く無いのです。

 

令和3年10月6日に開催された市議会の建設企業常任委員会において、松井久美子議員は、水道料金の減免に伴う減収分を補填しなかったことの財政影響について質問していますが、橋本水道局次長兼経営担当課長は、淡々と次のように答弁しています。

 

今回、コロナ減免に伴う収入減につきまして、将来的にどんな影響があるのかというところがポイントかと思いますので、財政的に試算してみますと、それ(※臨時交付金)をもし頂いておれば令和14年度まで内部留保金が底をつくことなくいけたものが、今回、補填がなかったという事実がありますので、内部留保金が少なくなってしまうのが令和13年度、1年前倒しになってしまうという状況でございます。

 

内部留保金が底をつくと、どうなるのか。水道の修繕工事のための資金がなくなるので、良質な水道水を安定的に供給するためには、水道料金の値上げが必須となります。コロナ禍において水道料金減免のため、将来の水道管更新工事などに備えて貯蓄しておくべき資金を先食いしたことの帰結は、将来世代の負担増なのです。

 

明石市以外にも水道料金の減免措置を講じた自治体は少なからず存在しますが、見識のあるまともな自治体では、将来世代の負担増を回避するため、国からの補助金である臨時交付金を活用して穴埋めを行っています。

 

令和3年10月議会では、複数の議員から、水道料金の減免に伴う減収分を補填しなかったことの問題点が指摘され、宮脇副市長は、令和2年度の水道料金の減免に伴う減収分5億円弱については、令和3年度に新たに国から交付された臨時交付金を当てて補填することを検討している旨を答弁します。

 

しかしながら、結局は泉市長の政治判断により、令和3年の臨時交付金によっても、令和2年度の減収分5億円弱が補填されることはありませんでした。

 

上下水道の減免のための財源は結局どこに消えたのか?

本記事では、令和2年度の明石市における水道料金6ヶ月分の減免措置により5億円弱の欠損が生じたこと、国からの補助金である臨時交付金を活用して補填することを副市長以下市の担当者は検討していたこと、しかしながら泉市長の政治判断により結局は臨時交付金で補填されることなく、水道会計は穴が空いたままの状態となっていることを説明してきました。

 

また、記事の前半では、令和2年5月1日の時点では、水道のみならず下水道についても基本料金の減免(財政影響は7.2億円)が検討されていたものの、市長の独断で6日後には白紙撤回され、泉市長は「市民や市議会議員の皆さんの声を踏まえながら、今回、下水道で財源として使うのを撤回した7億2000万円につきましては、しっかりとさらなる施策に活用していきたいと考えております」と議会答弁していたことを紹介しました。

 

果たして、下水道の減免のために活用する予定であった7.2億円、あるいは、水道料金の減免に伴う減収の補填に用いる予定であった5億円弱、両方併せて12億円のお金は、どこに消えたのでしょうか。「市民や市議会議員の皆さんの声を踏まえながら、」「しっかりとさらなる施策に活用」されたのでしょうか。

 

答えは至ってシンプルです。上下水道の減免措置のために確保することとしていた貴重な12億円は、泉市長自身の人気取りのための、市民全員に5000円の金券を交付する「明石市サポート利用券」事業という究極の不毛なバラマキ施策の財源に全額回されてしまい、市長が市民から賞賛を浴び威張るために空しく浪費されてしまったのです。この事業は決して、「市民や市議会議員の皆さんの声を踏まえながら、」企画立案されたものではありません。

akashi-shimin.hatenablog.jp

 

この「明石市サポート利用券」には、2億円近い無駄な事務経費を要することや政策効果など幾つもの問題点が市議会で追求されましたが、市長の独断で事業が強行されてしまいました。金券をもらって、喜ばない人なんていません。市長様からお小遣いをもらったと、はしゃいでいた愚民も少からず存在しましたね。確かに、見かけ上、市民は得をしたように錯覚に陥るかも知れません。しかしながら、コトの真相は泉市長のトリックに騙されているだけで、そのツケが将来の水道料金の値上げに帰着するというファクトを忘れてはなりません。

 

市議たちは、泉房穂市長の薄汚い不誠実な茶番に感づいているからこそ、市民にとって全くプラスにならない、泉市長の人気取りのためだけの愚策に反対してきたのです。「明石市サポート利用券」のような市長が目立ちたいがための派手な事業に散財するよりも先に、地味ではあるが市民の将来負担を回避するための対応(水道料金減免額の補填)を地道に行うべきだと。そして、トリックを見破られた泉房穂市長は、自己防護のため、市民に目を背けさせるため、自身が被害者であるかのように装って市議たちを一方的に攻撃し続けているのです。何と見苦しいことでしょうね、某市長の振るまいは。

 

 

 

(参考)以下は、参考までに市議会での関連質疑を貼り付けておきます

 

<令和 2年 建設企業常任委員会( 5月 7日)>    
○辰巳浩司委員
3月の予算のところでもちょっと指摘させていただいたんですけど、営業収益は年4億円ぐらい赤字というようなことになるかも分からないんですけど、しっかり努力をしていただきたいと思います。先ほど一般会計からの繰入れもっていうことなんで、副市長、減免したのに水道料金が上がったやないかというようなことがないよう、その辺もしっかりと対応していただきたいと思うんで、よろしくお願いします。


<令和 3年 総務分科会(10月 1日)>

○梅田宏希分科員  (略)これは企業会計ですから独立採算みたいなもんで努力するしかないんですけども、コロナ対策で水道料金の基本料金免除を実施しているのにコロナ対策で交付された交付金を入れないで、企業会計が黒字だから自分で頑張りなさいみたいなことは、理屈としては通らんでしょう。
 コロナ交付金が来ている、これからする事業に使うか使わないかじゃなくて、もうコロナ対策で水道料金を下げたところに入れないと、最終的にどうなるかというと、何年か後には市民への水道料金値上げでこれを補填するような結果になるでしょう。この矛盾点も含めて、これはもう決算の議会の承認を得られるとはなかなか難しい理屈だと思うんですが、財務部長の理屈を聞かせてください。

○箕作財務部長  財務部長の箕作でございます。
 事情は、先ほど室長のほうから説明したとおりなんですが、ちょっと1つだけ補足させていただきます。
 当該減免に対する繰出しにつきまして、それを判断する段階で実は他都市の状況も調査しております。県下の状況を見てみますと、大体、当時、その調査時点では、県下同じように料金を減免しておりますが、約半数の自治体が、特に水道に対しては繰出しをしていませんでして、また実際、繰出しをしている団体につきましても、全額を補填しているようなところは少なく、大体2分の1くらい補填しているような状況もございまして、そのような中、実際、水道事業の3億円の黒字、これは企業会計の黒字ですので、それと減免の話は別なのかもしれませんが、そういうこともございまして、我々としては、分科員の御指摘は痛いほど分かるのですが、このような判断をさせていただいたところでございます。

○宮脇副市長  副市長の宮脇でございます。
 現時点で水道料金減免分の補填、交付金の充当につきましては、財務当局より説明させていただいたとおりでございます。
 ただ、一応、対象としては今年度におきましても、水道の補填分、計画には上げさせていただいております。今後、交付金がどのような額が交付されるかはまだ不明の段階でございますが、昨年度は、水道の経営状況等を踏まえて、ほかの事業を優先して充てさせていただいておりますが、今年度も引き続き、充てることについては検討をさせていただきたいと考えております。
 それと、今後の水道経営に及ぼす影響についての御指摘も頂いたところでございますが、水道事業については、本当に市民生活に直結する大事な事業でありまして、その料金免除はかなりの影響を与えることは考えております。一定、市長も値上げについては否定する見解を述べさせていただいておりますが、水道は今、水源の切替え等、大きな経営的な変革期を迎えております。この中で、今後の経営も考えてまいるところでございますが、最終的には、市がしっかりと水道経営についても責任を持って今後、運営させていただくつもりでございます。
 仮の場合でございますが、この分の充当につきましても、今後どうなるか不明の部分がございますが、当然、水道事業会計が今、負担していることを踏まえて、今後も水道の経営には責任を持って市民の皆様には御迷惑がかからないように考えてまいりたいと考えております。

○梅田宏希分科員  今、答弁を聞いても、整合性についてなかなか理解できない。本当に、こういうような理解に苦しむような形で企業会計を圧迫しないようにしてもらいたいと思います。
 このコロナの交付金は使わなかった分は結構あったんですよ。それで、さきほどの話じゃないですけども、サポート券もそうですけど、その前に見えないところですけど。ですから、泉市政の、市政運営の姿勢というか、そこら辺りがこの中にも、先ほどの支え合い基金でもそうなんですけども、何か近頃、雑な運営ではないかなと思います。

 

<令和 3年 建設企業分科会(10月 6日)>    
○寺井吉広分科員
 いろいろ言われましたけども、実際には、その臨時交付金の全体の中の割合として、水道事業への経済的な支援の分が4億8,000万円程度ということを聞いております。それを適用せずに、まだ水道事業は大丈夫だということの判断のもとで今回の決算には適用されていないということですけども。でも実際には、この水道事業の会計を見ていても、営業損失が17年ぶりに出ている。今後、将来を見ても大変厳しい状況である。そんな中で、コロナで市民の方が大変困っているということで基本料金を半年間免除したと。その分を臨時交付金で頂いてるということですから、やはりそこはしっかりと水道事業に適用すべきかと思うんですね。
 だから、今回の令和2年度の決算については、本当に大変疑問を感じているということを言わざるを得ないと感じております。意見として言わせていただきます。

 

<令和 3年 総務常任委員会(12月14日)>

○穐原成人委員  (略)質問させていただきますが、水道事業というのは企業会計です。企業会計は国のほうから受益者負担で運営しなさいという通達が出ているはずなんですが、報告の中で直ちに支障が生じることはないと記載があります。それはそのとおりなんです。目的を持って今まで積み立ててきた金額があったはずなんですが、こういうところで何かあれば一般会計のほうから水道事業会計に投入しても問題はないのかどうか、これについてはいかがですか。

○松永財務室長兼財務担当課長  財務室長兼財務担当課長の松永でございます。
 水道事業会計の繰出につきまして、企業会計受益者負担の原則を踏まえて一般会計としてどう考えるかというところかと思います。受益者負担の原則に関しましては、水道事業の基本でございます。一方で、現状、これだけの新型コロナウイルス感染症の流行という、ある意味、例外的な状況が発生しておるということかと思います。その中で、水道事業は企業会計ではございますけれども、公の性質というものも備えておるところかと思います。そういった中で、例外的な状況の中で公の性質も備える水道事業として、一定の市民への負担軽減措置を行った状況かと思います。
 それに対して現状では、一般会計からの繰出というのは行っておりませんが、今後、水道事業の経営状況を鑑みまして、水道事業の経営が立ち行かないというような状況が出てまいりましたら、当然、一般会計として一般財源の負担を持ってでも繰出をするという判断に至るということはあろうかと考えております。今後の水道事業の経営状況をよく見まして、話してまいりたいと考えております。

○穐原成人委員  考え方はそのとおりでしょうね、明石市の水道なんですから。ただ、今回の報告や監査委員からの意見の中でも、今まで水道事業会計の余剰金というか、積立金について各議員からも質問があったんですが、ほとんどが古い水道管の更新とかのために主に積み立てているというところだったんですね。今、日本全国で古い水道管の破裂とかの問題が出ていますので、そのような指摘をしたところ、余りにも一気には更新できない。順を追って計画しているというのを聞いております。そういったところまで考えて、本来は今回のこの経緯についてというところに詳しく載せてもらわんと、私どもから見ればこれは言い訳かなと。現状、特に困っていないからしないんですよと。今年度限りの文書のように見えて仕方がないんですよ。老朽化した水道管の更新まで勘案して水道局と話をされているのかどうか、ここはいかがですか。

○松永財務室長兼財務担当課長  財務室長兼財務担当課長の松永でございます。
 今後の水道事業経営に関しての水道局との協議というところでございますけれども、水道事業では、今年に中期経営計画ということで、老朽管の布設替え等も含めた今後の課題、それから、それに対応する経営の課題というものをまとめておるところでございます。その中では、何もしなければ内部留保が枯渇してしまう可能性があるけれども、そうならないように健全な経営に取り組むという方針を出されておるところでございます。ここにつきましては、一般会計の財務担当としましても、そういった状況で取り組んでいくということを確認しまして、それを注視しておるというところでございます。
 今回、繰り出すのかどうかといったところに関しては、水道事業とも随時協議をいたしまして、今の一般会計の判断としては繰り出す状況ではないという判断を伝えて、水道事業のほうにも一定理解をしていただいて進めておるところでございます。

○穐原成人委員  ここでどうこう言うても、正式に出た文書ですからあれなんですけど、これはもうはるか以前なんですけど、私どもが水道局から聞いたところ、工事をするべきものでなぜ年間でこんなに少ない件数しかできないのかといったところは、やはり技術者の問題も出てきているんですよ。一気にするだけの技術的なものも足りない。また、発注するにしても、業者もそれほど一気にできないというところから勘案して、本来は予備費的なものでの積立てをしていたはずなんです。その辺をしっかりと話して、もし何かのときには一般会計のほうから繰入れしますよというところをはっきり書いていただきたいなという思いがあります。これは意見とします。

○宮脇副市長  副市長の宮脇でございます。
 今後の水道の経営に関わることですので、意見がございましたので私からも一言申し上げさせていただきます。
 水道事業におきまして、まず、水道事業上の1つ目の課題が老朽化した管や施設の更新でございます。これについては別途、建設企業常任委員会でも報告させていただいていますが、老朽管の布設替えにつきましては計画どおり、あるいは計画以上のペースでしっかり財源を確保して進めさせていただいております。また、このたび補正予算をあげさせていただいていますが、老朽化が進んでおります魚住浄水場につきましては、複数年計画で改築させていただく予定であります。このように老朽化対策については財源を確保しつつ進めておるところでございます。
 今後の経営上、更新費もありますし、水源の切替えの問題もございます。阪神水道企業団への水源の切替えについて、企業団にお願いするに当たりまして、今、ちょうど受水コスト等の協議を行っているところでございます。これらのコストが今後の経営にも及んでくると考えております。そんな中で、しっかりと経営改善の努力、これまでも浄水場の管理等、民間委託等でできるだけコストを下げたり、職員の効率的な活用を行っておるところでございますが、経営改善の努力をまずはさせていただきたいと考えております。
 ただ、今後、阪神水道企業団等のコストはこれからでございますが、大きなコストの見込みを見据えつつ、今後の経営収支の見込みを出させていただいて、しっかりと今後も水道事業が市民への負担を増加させることなく経営できるように一般会計としてもその状況に応じた対応や支援をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○出雲晶三委員  (略)水道の件に関しては、現在、令和2年度の決算におけるやり方を令和3年度の水道事業の経営状況を見たりして、また、水道の内部留保とか水道の売上げから市民のコロナに対する支援をするということになっとるんやね。そんなら、これは駄目ですよと議会が言うとるのに、これを是正する気持ちは令和2年の分はもう繰り出さないよということが書かれています。それも理解できないんやけども、令和3年度以降の分もこの状況においてはこういうやり方をしますよというふうに書いていますので、今回の報告も不承認せなあかんようなことになるかと思うんです。今、水道事業の経営状態を一生懸命言われました、一生懸命頑張ってはるのは分かります。しかし、将来的に老朽管の布設替えや阪神水道企業団からの受水でお金が要ることは目に見えています。そのときは、一般会計から出さなあかんかも分からへん。足らんときは出さなあかんことは当たり前のことなんですけれども、現在、企業会計として順調にやっているものにお金を出させて、国がこのような交付金を出しておるのに補填しないということは、私は理解できないし、今期から活用してもらいたいということで、今期から活用するということがもしあったらええんですけど、それが書いていないということが私は理解できないんですが、いかがですか。

○宮脇副市長  副市長の宮脇でございます。
 今回の対応につきましては報告書に記載のとおりでございます。
 ただ、先ほども申し上げましたが、最終的には水道の経営につきまして、責任を負わさせていただくのは市でございますので、一般会計での対応も含めまして、今後、今、申しましたとおり、水道はちょうど過渡期にございます。この中で水源切替えをしっかり行いながら経営収支を出して、今後の見込みに基づいて、この新型コロナで今回、水道事業から出させていただいた減免分も含めて、一般会計の対応について今後よく検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。